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簡易な計算ルートを新設

 住宅の場合、省エネ基準に適合するかどうかは外皮性能と一次エネルギー消費量の2つで評価する。

 評価するルートは大きく4つある。「標準計算ルート」と「簡易計算ルート」は、建築研究所が公開する専用計算プログラムなどを使って外皮性能と一次エネルギー消費量の数値を算出する。最も簡易な「仕様ルート」はこうした計算を行わず、外皮の断熱性能、開口部の日射遮熱対策、設備の仕様などが基準に合致していることを確認すればいい。

 以上3つのルートは法改正前から使われてきた。さらに説明義務化に当たり、簡易計算ルートと仕様ルートの間に位置する「戸建て住宅簡易計算ルート(モデル住宅法)」が新たに加わる。地域、建物構造、設置する設備などの条件に応じてあらかじめ分類されたシートを用い、ポイントの計算などを実施して基準への適否を簡易に評価する方法だ。

 非住宅建築物は、一次エネルギー消費量だけで省エネ基準への適否を判断する。住宅と同様に、計算には建築研究所が公開する計算プログラムを用いる。これまでは詳細な「標準入力法」と簡易な「モデル建物法」の2種類があったが、説明義務化に伴ってより簡易な「小規模版モデル建物法」を用意する予定だ。

 戸建て住宅簡易計算ルートと小規模版モデル建物法の試行版は、20年4月に公開予定だ。また、住宅生産団体連合会が説明用のパンフレットを国土交通省のウェブサイト上で公開するなど、関連団体も資料を準備している。省エネ計算の経験が乏しい建築士は特に、1年後の義務化に向けて早めに目を通しておきたい。

戸建て住宅用の簡易計算が登場
戸建て住宅用の簡易計算が登場
(資料:国土交通省の資料を基に作成)
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