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 「軽微な変更」の範囲は? 残すべき設備や建材のデータとは? 2021年4月(予定)に適合義務の対象となる300m2以上の非住宅建築物では、省エネ適合性判定に係る完了検査が実施される。設計・監理者や施工者は適切な手続きを行う必要がある。

齋藤 卓三|Takuzo Saitoh 1991年早稲田大学理工学部建築学科卒業。一般財団法人ベターリビングで、住宅・建築物の各種認定制度に係る業務に従事するとともに、一般社団法人住宅性能評価・表示協会において、省エネ適判部会部会長、制度運用委員会委員長等を務める。一級建築士(写真:大久保 惠造)
齋藤 卓三|Takuzo Saitoh 1991年早稲田大学理工学部建築学科卒業。一般財団法人ベターリビングで、住宅・建築物の各種認定制度に係る業務に従事するとともに、一般社団法人住宅性能評価・表示協会において、省エネ適判部会部会長、制度運用委員会委員長等を務める。一級建築士(写真:大久保 惠造)
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非住宅建築物に対する省エネ基準適合義務化は2017年4月、延べ面積2000m2以上の建築物を対象に始まりました。省エネ適合性判定(省エネ適判)をする立場から施行後の状況をどう見ていますか。

 広く周知活動を実施したことや省エネ基準値がそれほど厳しくないことから、制度は滞りなく動いています。

 通常は工事の最終段階で設備機器を確定するため、完了検査時点では申請時から何らかの変更が生じている可能性があります。ただし建築確認に比べると、計画変更の手続きが必要ない「軽微な変更」の範囲が広いため、工程に影響を及ぼす状況はほとんど出ていません。

「軽微な変更」は3ルートある
「軽微な変更」は3ルートある
工事中に変更が生じた場合、「軽微な変更」であれば省エネ計画の再提出が不要。軽微な変更は、省エネ性能が申請内容と同等以上となる場合や変更後の内容が省エネ基準を満たす場合などが対象となる(資料:国土交通省「改正建築物省エネ法の各措置の内容とポイント」を基に作成)
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さらに21年4月、適合義務の対象が300m2以上に広がる予定です。

 大規模建築物と異なり、300m2規模の建築物では設備担当者が関与せず、意匠設計者が設備分野も手掛けるケースは珍しくありません。適合義務化に伴い、こうした建築物にも省エネ計算が義務化される。自分で省エネ計算できる意匠設計者は少ないので、代行事業者などに外注するケースが増えるでしょう。