環境共創イニシアチブ(SII)は、2019年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業における建物用途ごとの傾向を分析している。採択事業の半数を占めた「事務所」用途の詳細をみてみよう。
2019年度の採択事業54件を建物用途別に見ると、事務所が50%を占めた。17年度に27%を占めていた老人・福祉ホームは、18年度が13%、19年度が11%と割合が下がる傾向にある。
延べ面積の規模は2000m2未満の建物が半数を占め、工事種別では新築が8割を占めた。
19年度の採択事業54件中、ZEBを達成した6件はいずれも延べ面積2000m2未満の新築の事務所で、うち5件は1000m2未満。6件の単位面積あたりの平均創エネルギー量は約540MJ/m2だった。最も創エネ量が多かった事例は、北海道での採択事業(延べ面積391m2)で762MJ/m2。一方、その約半分の330MJ/m2でZEBを達成した富山県での採択事業(延べ面積262m2)もあった。
事務所の平均1次エネルギー消費原単位は、基準値1156 MJ/m2(18年度は1343MJ/m2)、設計値270 MJ/m2(同341MJ/m2)だった。18年度と比べると設計値は約21%下がっている。設計における省エネの取り組みの強化が反映された結果といえる。
事務所の場合、空調設備、照明設備の設計1次エネルギー消費原単位は、過去3年間の実証事業を振り返ると、それぞれ300〜400MJ/m2、90〜100MJ/m2の数値に落ち着いてきた。それでも設計1次エネルギー消費原単位が下がるのは、創エネ設備の貢献が大きい。
19年度における事務所の採択事業(全27件)では、約9割にあたる24件で創エネ設備を導入している。単位面積あたり200MJ/m2以上の創エネ設備を採用した事業は15件あり、いずれもNearly ZEB(正味で75%以上省エネ)以上を達成、6件がZEB(正味で100%以上省エネ)を達成した。
資料はSIIのホームページからダウンロードできる。