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ZEBで地域の中小企業を支援

新本社の改修計画でZEBにするために苦心した部分はありますか。

西山 特に苦労した点はありません。理由の第1に、断熱改修によって外皮性能が高くなっていたこと。第2に、最初から三菱電機住環境システムズによって高機能の設備機器が提案されていたことが挙げられます。

テナントであるエコワークスがビルオーナーにZEB改修を提案して実現した点も大きな特徴です。

西山 これまで国内で85件のZEBの計算支援に携わってきましたが、テナント側からビルオーナーに提案した事例は聞いたことがありません。ZEBを実現する選択肢として1つの可能性を感じました。

小山 テナント側が改修コストを負担してZEB化するという私たちの試みは、PRを兼ねたものです。効果的にPRできるようにとBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)のZEB認証も取りました。実際にPR効果は大きいと実感しています。

エコワークスは、熊本県でもZEBとなる保育園の新築を進めていますね。

小山 木造で、住宅とほぼ同じ仕様を採用しています。こちらも西山さんに参加していただいています。

今回のような事務所ビルと保育園ではZEB化に際して取り組み方が違う面もあるのでしょうか。

西山 事務所ビルと幼稚園・学校とでは、設備容量を計算する際の前提となる単位面積当たりの人数が異なります。事務所に比べて幼稚園・学校は人数が少なく、設備の調整でエネルギー消費量を削減しにくい。そのため、全面的に家庭用の壁付けエアコンを採用しています。

小山 いずれにせよエネルギー消費量の基準値は実態に比べて高めに出てくるので、新本社も保育園も基準をクリアするのは結果的にそれほど難しくありませんでした。でもそうした感覚は、実際に取り組んでみないと分かりません。

 今日、企業にとって「SBT(科学と整合する温暖化ガス削減目標)」が前提となってきています。当社では建設する住宅・建築だけでなく企業活動そのものを脱炭素化していこうとしており、2018年度に「2040年までに企業としての脱炭素化(温暖化ガスの排出実質ゼロ)」という目標を掲げました。使用電力の100%再エネ化は既に実現しています。

 地域を基盤に活動している住宅会社でも、こうした取り組みが可能であることを私たちは示したい。中小企業にも、いずれSDGs(持続可能な開発目標)の波は訪れます。新本社や保育園の実績を足掛かりに、本社や店舗のZEB化を考える中小企業の支援へとつなげていきたいと考えています。

エコワークスの小山貴史代表(写真:守山 久子)
エコワークスの小山貴史代表(写真:守山 久子)
イエタスの西山博マーケティング開発部長(写真:イエタス)
イエタスの西山博マーケティング開発部長(写真:イエタス)