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湾曲した大開口に内窓を新設

 一方、建物の断熱化は内部空間側で処理している。外壁のウレタン吹き付け断熱は、もともと厚さ20mmだったものに厚さ120mmを吹き増した。

 象徴的なのは、湾曲したガラス開口に沿って新設した大きな内窓だ。既存のガラス開口は、熱負荷の面で弱点になっていた。複層ガラスとはいえ熱を伝えやすいアルミサッシを用い、さらに南西に向けて大きく開いていた。

 この吹き抜け空間に柱と横架材を組んだ格子を立て、トリプルガラス樹脂サッシのフィックス窓をはめ込んで内窓とした。既存のアルミサッシと新設した内窓の間にはハニカム断熱ブラインドを設け、断熱と遮光の役割を担わせている。その他の各室の窓にも全て、樹脂サッシの内窓を取り付けた。

大開口のある吹き抜け空間。湾曲した既存サッシの内側に、自立する格子を組み上げて樹脂サッシをはめ込んだ(写真:棟晶)
大開口のある吹き抜け空間。湾曲した既存サッシの内側に、自立する格子を組み上げて樹脂サッシをはめ込んだ(写真:棟晶)
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吹き抜け空間の内窓を見上げる。既存サッシとの間にハニカム断熱ブラインドを組み込んだ(写真:守山 久子)
吹き抜け空間の内窓を見上げる。既存サッシとの間にハニカム断熱ブラインドを組み込んだ(写真:守山 久子)
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 外壁をカラマツで覆った以外はほぼ室内側の工事に集約したのは、建築確認申請が不要な範囲で改修を進める狙いもあった。

 「確認申請をすると、大規模な対応が必要になる可能性があった。例えば、新築時には防火規制がかかっていない地域だったが、その後、準防火地域に変わっている。そこで、躯体(くたい)には手を付けず、床面積も新築時と変わらないようにするなど改修範囲を見極めて計画した。完成後に増設した可能性のある床面も取り外して吹き抜けに戻し、確認申請時の状態にしている」(西方設計の西方代表)