全1729文字
PR

中規模ビルをZEB改修

今回は地中熱ヒートポンプを、ダクト式エアコンと放射暖冷房の熱源に利用しています。エネルギー消費量削減効果はどの程度になるのでしょうか。

齊藤 建物全体のエネルギー消費量は、壁掛け式の高性能エアコンを使った場合の4分の1程度に収まる計算です。約23kWの太陽光発電設備を設置したほか、年内には約24kWの蓄電池、12kW相当の電気自動車2台によるV2H(Vehicle to Home)を導入する予定です。これらが稼働すれば、理論上はオフグリッドの建物になります。

西方 戸建て住宅でも、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)にするために10kWの太陽光発電パネルを載せることは珍しくありません。中規模ビルとはいえ、ZEBで23kWという搭載量は少ない。それだけ地中熱ヒートポンプによる省エネ効果が高いということでしょう。

齊藤 改修前に比べてCO2の排出量は、省エネによって48%、太陽光発電の創エネによって41%削減できます。合計の削減率は89%で、CO2を17.5t減らすことになります。

 建築統計年報によると、延べ床面積1300m2以下の事務所ビルは全国で54万7000棟も存在します。これらの建物全てに同様の断熱化と設備の高効率化を施すと、957万2000tのCO2を削減できる計算になる。民生業務部門のCO2排出量の約4.5%に相当します。全国で同様の改修を手軽に進められるようになれば、多大な効果を見込めるのです。新本社のZEB化が、そうした取り組みに向けたひとつの指針になればと思っています。

新社屋の執務室。既存の全ての窓に、トリプルガラスと樹脂サッシの内窓を設置して断熱性を高めた(写真:棟晶)
新社屋の執務室。既存の全ての窓に、トリプルガラスと樹脂サッシの内窓を設置して断熱性を高めた(写真:棟晶)
[画像のクリックで拡大表示]
基本プランを担当した西方設計の西方里見代表取締役(左)と棟晶の齊藤克也常務取締役(写真:守山 久子)
基本プランを担当した西方設計の西方里見代表取締役(左)と棟晶の齊藤克也常務取締役(写真:守山 久子)
[画像のクリックで拡大表示]