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 「土浦北インター自動車学校 校舎棟」は、地域の防災拠点を兼ねたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)として建設された。切り妻屋根の棟を並べ、一部の屋根に太陽光発電設備を載せた木造平屋の建物だ。

 切り妻屋根を載せた木造平屋建ての棟がいくつも並ぶ。2020年12月、土浦北インター自動車学校(茨城県土浦市)の新しい校舎棟が完成した。運営するのは、IACドライビングスクール(茨城県土浦市)。合宿免許エージェント事業などを営むインター・アート・コミッティーズ(IAC、さいたま市)のグループ会社になる。

運転練習場越しに見る「土浦北インター自動車学校 校舎棟」の西側外観。手前に並ぶ3棟の屋根上に太陽光発電パネルを載せている(写真:吉田 誠)
運転練習場越しに見る「土浦北インター自動車学校 校舎棟」の西側外観。手前に並ぶ3棟の屋根上に太陽光発電パネルを載せている(写真:吉田 誠)
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切り妻屋根が並ぶ校舎棟南側外観(写真:吉田 誠)
切り妻屋根が並ぶ校舎棟南側外観(写真:吉田 誠)
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 新校舎の大きな特徴は、環境省が進める「地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」の補助金を得て「防災ZEB」としていることだ。

 同事業は、地方公共団体との協定で災害時の避難拠点に位置づけられた施設などを対象とする。平時に建物内で排出する温暖化ガスを抑制し、災害時にエネルギー供給できる再生可能エネルギー設備を導入することが条件だ。建物は、再生可能エネルギーを除く1次エネルギー消費量の削減率を50%以上とし、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)でZEBの評価を得ることが求められている。

 なぜ民間施設で防災ZEBを目指したのか。「地域の防災拠点として利用できる自動車教習所にしたい、という気持ちが計画の出発点だった。ZEBは特に目標としたわけではないが、結果的にそうなった」。IACの皆川充代表はそう振り返る。

 計画に際しては地元の土浦市と防災協定(災害時における施設の応急利用に関する協定)を結び、災害時に地域の住民を受け入れる。建物は外皮の断熱性能を高めたうえで太陽光発電設備を設置し、Nearly ZEB相当とした。

 設計はかなで建築設計(前橋市)、施工はナイス(横浜市)が担当した。全体計画にはIACグループの建築設計事務所、時空間(さいたま市)が参画している。