建設会社の技術研究所でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の新築や改修に取り組む事例が増えている。奥村組は1986年完成の技術研究所管理棟を改修して「4階建て既存建築物のNearly ZEB化」を果たした。
奥村組技術研究所(茨城県つくば市)の管理棟は、実用に供する国内初の免震建築として1986年9月に完成した。鉄筋コンクリート造の地上4階建て。延べ面積1330m2の建物では、技術系と事務系を合わせて41人が執務している。
同社は20年1月、築34年となるこの建物をNearly ZEBに改修した。19年度に実施した技術研究所全体のリニューアルの一環だ。
ZEBリーディング・オーナー事例として環境共創イニシアチブ(sii)に登録した既存建築物のうち、Nearly ZEB (再生可能エネルギーを含む「一次エネルギー消費量の削減率〈以下、削減率〉」が75%以上)の性能を持つ事例は44件を数える(21年3月26日時点)。ただし、そのほとんどが平屋建てで、4階建て以上はこの管理棟が初めてとなる。
「延べ面積に対して屋根面積が小さい4階建ての既存建築物の場合、普通ならZEB Ready(再生可能エネルギーを除く削減率が50%以上)とするのが良いところだろう。ただし、管理棟はZEBの実証と検証を行い、ショーケースとして当社の技術をアピールする建物だ。ハードルは高いが、Nearly ZEBを実現してほしいと設計部に依頼した。ここで様々な挑戦をし、今後の設計提案に生かしてもらいたい」。奥村組の川井伸泰技術研究所長はそう話す。