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実測値と設計値はほぼ同じ

入居してから1年がたちましたが、実際の運用状況はどうですか。

田中氏:エネルギー消費量の実測値は設計値とほぼ変わりません。新型コロナウイルスの感染予防のため執務中に窓を開けている時間が長かったので、空調効率は想定より少し低下しています。窓を閉めている時間が通常通りなら同程度だったのではないでしょうか。設計値は8時間勤務を想定して算出していますが、災害対応のために24時間勤務をした時期があったことも影響しています。

新開孝洋氏(福島県土木部営繕課副主査):20kWのパネルを搭載した太陽光発電設備は、設計値より多い発電量を記録しています。給湯やエレベーターの消費エネルギー量も設計値より少なくなっています。

1階ロビー。地中採熱量などの各種データをデジタルサイネージで表示している(写真:守山 久子)
1階ロビー。地中採熱量などの各種データをデジタルサイネージで表示している(写真:守山 久子)
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常盤しのぶ氏(福島県須賀川土木事務所総務課長):天井のアンビエント照明で十分に明るく、手元のタスク照明をつけていないことが多い状況です。2021年4月初めにこの事務所に着任しましたが、2階の執務スペースへの階段を上がっている時点で室内の暖かさを感じます。この地域では1年の半分は膝掛けが欲しい寒さですが、この建物では必要ありません。

福島県は、今回の取り組みをどう生かしていく計画ですか。

田中氏: 福島県では、06年9月に策定した「福島県環境共生建築計画・設計指針」を皮切りに、17年5月の「福島県再エネ・省エネ推進建築物整備指針」、18年6月の「福島県再エネ・省エネ推進建築物設計ガイドライン」をまとめてきました。整備指針では県有建築物に対し、BEI(一次エネルギー消費量基準)の数値目標を設定しています。例えば、県庁舎などの重要施設の場合、基準値は省エネ化だけでBEI=0.7、 目標値は再生エネルギーを導入してBEI=0.6としています。

 さらに県は、21年度のZEB推進事業で「ZEB化ガイドライン」を作成します。須賀川土木事務所の運用データの分析も加味したガイドラインとし、地域の事務所がチャレンジしやすいように促していきたいと考えています。

福島県須賀川土木事務所の高久敏明所長(写真:守山 久子)
福島県須賀川土木事務所の高久敏明所長(写真:守山 久子)
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前列左から福島県須賀川土木事務所総務課長の常盤しのぶ氏と土田建築設計事務所社長の飛木佳奈氏。後列左から福島県土木部営繕課専門電気技師の田中剛氏と副主査の新開孝洋氏、土田建築設計事務所専務の五十嵐敬氏(写真:守山 久子)
前列左から福島県須賀川土木事務所総務課長の常盤しのぶ氏と土田建築設計事務所社長の飛木佳奈氏。後列左から福島県土木部営繕課専門電気技師の田中剛氏と副主査の新開孝洋氏、土田建築設計事務所専務の五十嵐敬氏(写真:守山 久子)
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