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光熱費が4分の1に

ZEBにするために特に苦労したことはあったのでしょうか。

白江氏:もともとZEBを狙っていたわけではなく、設計が固まってからエネルギー消費量の計算をしてみたところZEBのレベルを満たしていたというのが実情です。

真下和男氏:当初の提案から変えてもらった点に、引き違い窓があります。昼間は窓を開けて換気をしたいので、使い勝手などが良いと感じる引き違い窓を希望しました。

白江氏:自然換気に対する建て主の思いを生かしました。実際、新しいオフィスの完成後に訪れるといつも、窓を開けて使われています。断熱性能の面で引き違い窓は少し不利になりますが、総合的な温熱性能を計算したところ問題はありませんでした。

 屋根の上には26kWの太陽光発電パネルを載せています。パネルの周囲にメンテナンススペースを確保した上でできるだけ多く並べました。その他、12kWhの蓄電池を設置しています。

真下美紀氏:太陽光発電による電力は自家消費した分以外を蓄電し、夏のエアコンなど足りない分を系統電力から購入しています。今後EV(電気自動車)が普及してくれば、太陽光発電した電力をより有効利用できるようになるでしょう。

使い始めてからの光熱費や室内環境はいかがですか。

真下和男氏:電気料金は明らかに安くなりました。以前の事務所は2カ所に分かれていたのですが、太陽光発電設備を稼働させた6月以降の実績では旧2事務所の合計の4分の1程度に納まっています。

白江氏:暖冷房は住宅用の壁付きエアコンを利用しており、計算上は真冬と真夏に14日ずつエアコンを稼働する必要があります。

真下美紀氏:初めての冬を迎えますが、朝1時間暖房を入れると室内はすぐ暖かくなります。前の建物は寒かったので、所員たちも喜んでいます。

右から建て主の真下和男氏(真下公認会計士事務所所長)と真下美紀氏(真下和男税理士事務所)、設計者の白江龍三氏(白江建築研究所)(写真:守山 久子)
右から建て主の真下和男氏(真下公認会計士事務所所長)と真下美紀氏(真下和男税理士事務所)、設計者の白江龍三氏(白江建築研究所)(写真:守山 久子)
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