全2312文字
PR

日射をコントロールする窓まわり

 ZEBの実現に際しては、建築と設備が一体となった計画を進めた。主な工夫を見ていこう。

 建物の外皮設計では、外とのつながりや明るさを確保しながら、日射による熱負荷の影響を最小限に抑えることを目標とした。「南面は夏の日射遮蔽が最大のテーマとなる。軒を800mm、壁柱を500mm、それぞれ窓面から張り出し、水平と垂直のラインを生み出しつつ日射が入るのを防いでいる」(堀部氏)

外周に配した壁柱。地震時の水平力を負担する(写真:守山 久子)
外周に配した壁柱。地震時の水平力を負担する(写真:守山 久子)
[画像のクリックで拡大表示]

 南面の開口部まわりには他にもいくつかの工夫を施した。室内側に設けた可動式ブラインドは下から持ち上がる方式とした。夏の日射が入り込むのは床に近い部分に限られるため、ブラインドを途中まで上げれば日射を遮れる。その際、2、3階では屋外の路面からの視線が気にならず、外の景色も楽しめる。

下から持ち上がる可動式ブラインド(写真:守山 久子)
下から持ち上がる可動式ブラインド(写真:守山 久子)
[画像のクリックで拡大表示]

 また大きなガラス面の下端には、吹き抜けに設けたハイサイドライトと連動し、外部の空気環境が一定条件になると電動ダンパーが開く自然通風口を用意した。中間期には自然の風を取り入れられる仕様だ。

 一方、東西の開口には西日などの対策として、金沢の町家で使われてきた木虫籠(きむすこ)を参考にしたアルミルーバーを配した。木虫籠は台形断面を持つ細い縦格子で、光を取り込みつつ、室内からは外が見えるものの外からの視線は遮るという。

西面に設けた木虫籠ルーバー(写真:守山 久子)
西面に設けた木虫籠ルーバー(写真:守山 久子)
[画像のクリックで拡大表示]
木虫籠ルーバーを室内側から見る(写真:守山 久子)
木虫籠ルーバーを室内側から見る(写真:守山 久子)
[画像のクリックで拡大表示]

 正方形の大きな平面形状を持つ執務スペースの照明と空調は、それぞれ自然エネルギーを利用したタスク&アンビエント方式を採用して省エネと快適性の両立を図った。

 照明計画では、中央の執務スペースの明るさを補完するため、吹き抜け上部のハイサイドライトから自然光を取り入れた。アンビエント照明は、人の生体リズムに合わせ、季節と時間に応じて色温度を変えるサーカディアン照明としている。

 2、3階の執務スペースの空調は、執務者の活動エリアを効率的に暖冷房できる全面床吹き出し方式を採用した。OAフロアの床下スペースからカーペットを通して空調空気をしみ出させるアンビエント空調と、小型のファン付き吹き出し口で個別に制御できるタスク空調を組み合わせている。

 2階では、さらに冷温水配管を埋設したコンクリート床を配した躯体蓄熱型放射空調(TABS)も取り入れた。TABSに流す冷温水には地下水を利用する。夏期や中間期には地下水の熱をそのまま利用し、冬期は地下水を利用したヒートポンプでつくった温水を用いる。