まずは、西日本を中心に甚大な被害をもたらした豪雨災害で被災された方々に、お見舞い申し上げます。大きな被害をもたらした豪雨の直後に、酷暑が追い打ちをかけています。復旧に向けた現地の方々が直面している苦難は、筆舌に尽くし難いものであります。

 日経ホームビルダーでは今後、浸水被害を受けた住宅に対して必要な措置などを取材し、報じていく所存です。当面の間、みなさまのお役に立てる情報として、建て主の方から水害後の対応を求められた場合に利用できそうな方策をまとめた記事「顧客の家が浸水した場合の注意点は」を無料で公開しております。建て主の方の不安を取り除く材料として参考にしていただければ幸いです。

 さて、日経ホームビルダー8月号では、2つの特集記事を用意しました。1つ目は「その使い方危ない 透湿防水シート」です。外壁の通気工法が普及するなかで、その使用方法を誤ったために、トラブルに至る事例が散見されるようになっています。

日経ホームビルダー2018年8月号の特集「その使い方危ない 透湿防水シート」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー2018年8月号の特集「その使い方危ない 透湿防水シート」(資料:日経ホームビルダー)
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 通気層や透湿防水シートの施工が甘いと、木材の劣化や水分の浸入といった大きなトラブルにつながりかねません。特集記事では通気層や透湿防水シートの施工に問題があった具体的な住宅を取り上げました。

 記事では隅柱と管柱にサイズの異なる材を使用し、隅柱に外壁材をじかに留め付ける設計としたためにトラブルに至った事例などを、現地取材で得た写真とともに分かりやすく示しています。通気層や透湿防水シートの施工について、改めて確認する材料にしていただければと思います。

 この特集記事で注目していただきたい点は、独自の実験結果などに基づいて、透湿防水シートへの水の浸入リスクを検証した点です。興味深い知見が得られていますので、詳細については是非、特集記事に目を通してご確認ください。

 もう1つの特集記事は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に焦点を当てた「ZEHなんて怖くない」です。2018年度からZEHに新たな仕様が加えられ、都市部での省エネ住宅の建設が誘導されています。こうした動きも踏まえて、さまざまな立地条件におけるZEHの設計や施工の事例を、詳細図面などとともに紹介しました。

 猛暑や震災、水害などの自然リスクが高まるなか、住宅を温熱環境面で安心できるシェルターにしていく重要性は一段と増しています。「今はZEHなんて建てる必要はない」と思われる方にも、ご一読いただければと思います。

 災害を題材にしたコンテンツとして、6月18日に大阪府北部で発生した最大震度6弱の地震後に進めた取材を基にした記事も掲載しました。リポート「塀の基準見直しが急務」です。震災がもたらした被害だけでなく、タイトルに示すとおり、今回の震災で特に注目されたブロック塀に求められる安全対策を総括。現状の法令に潜む課題を浮き彫りにしました。

 震災で注目された課題は、これまでにも警鐘が鳴らされていた項目が少なくありません。一刻も早く対策を講じ、迫り来るリスクに備えられるように、引き続き情報発信に努めてまいりたいと思います。