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 日経ホームビルダー10月号の特集1「基礎の弱点を克服する」は、戸建て住宅の「基礎」がテーマです。基礎そのものに焦点を当てた特集は、日経ホームビルダーでは久しぶりかもしれません。パート1は設計編、パート2は施工編と、両側面から「弱点」となり得るポイントの所在と対策を整理しています。

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 古い話ですが私自身、日経ホームビルダーで12年ほど前に基礎の特集を担当したことがあります(2008年7月号特集「基礎の死角」)。この記事の取材当時、コンクリートや構造の専門家のほか、住宅検査会社などの間では、木造戸建て住宅の基礎に散見された品質のばらつき、例えば土木構造物などと比べたコンクリート構造物としての品質について、懸念する声が高まりを見せていた時期でした。

 08年は、日本建築学会が「小規模建築物基礎設計指針」を20年ぶりに大改訂した年でもあります。この改訂で最大の特徴は、従来から示していた地盤調査や設計上のポイントに加えて、地盤補強や施工管理、不同沈下などでの修復方法といった領域まで踏み込んだ点でした。トラブル例や法制動向を踏まえて、業界を挙げて品質の向上を図るうえで一つの大きな転換期だったと捉えています。

 当時の取材で強く感じたのは、「最大のリスクは住宅業界特有の分業体制にあり」という点です。基礎工事は通常、外注工事。専門工事会社の仕事を十分にチェックできるか、元請け会社の施工管理の品質こそ、要(かなめ)である点は現在も同じです。

 当時から現在に至るまでに、大規模地震での被災例や不同沈下の被害例による知見の蓄積や、各種法制度の整備を通じて、基礎の品質に対する注目度は相対的に高まってきたと言えるでしょう。しかし油断をすれば、現在でも同じ失敗が繰り返されます。実際、10月号の特集1で紹介した「弱点」のいくつかは、以前も類例を聞いたことがある悪い意味で“トラディショナル”なトラブル。逆に言えば、「まだ根絶できていない」と捉えることもできます。特集1では、そうした点にも改めて焦点を当てて取り上げています。