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 日経ホームビルダー11月号の特集「下請け会社が嫌がる『残念な元請け』」は、専門工事会社などの職人が元請け会社に抱く日常的な不満がテーマです。住宅建設の現場には、工程に応じて様々な工種の職人が出入りします。それぞれ円滑に作業してもらうことが、元請けの施工計画や施工管理で最も重要なポイントになるわけですが、実態はうまくいっていない場合もあるでしょう。

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 特集で紹介した事例10ケースはいずれも、専門工事会社などの取材先がこっそり教えてくれた実話ばかり。元請けを主体とする住宅会社・工務店の読者にとっては、「耳に痛い」と感じる事例もあるのではないでしょうか。自社の現場が同じような問題を抱えていたとしても、こうした情報は表面化しないことがしばしばあります。それだけに現場の責任者や、中小規模の事業者なら経営者自身が、積極的に実態を把握する行動を起こさないと、外部の大切な協力者たちが抱くこうした不満は募る一方となります。

 特集の後半では、日経ホームビルダーが専門工事会社の施工担当者など、住宅建築に下請けとして関わっている人を対象に実施したアンケート調査も紹介しています。調査結果によると、回答者の7割強が元請け会社に対して何らかの不満を抱いたことがあり、そうした不満を背景に元請けとの関係を断ち切ったことが「ある」と答えた人は3割強でした。

 調査結果で注目すべきは、これら回答者が「残念な元請け」と付き合う際に実施している対策です。複数回答で最も多かった選択肢は、1位が「作業スケジュールを長めに示す」、2位が「元請けとのコミュニケーションを密にする」、3位が「見積もりを高めに示す」。2位はともかく、1位と3位は元請け会社にとって、プロジェクトの工期やコストに直接的な影響が及ぶ深刻な話です。下請けの職人たちが円滑に気持ちよく個々の作業に取り組める状況なら発生しないはずの“無駄”が、生じていることになるからです。

 言い換えれば、元請け会社にとって「下請けの不満」は、プロジェクトの利益率を押し下げる要因になるという側面があります。この特集を担当した森下慎一副編集長が11月号の「編集部から」で、「職人の不満は『カイゼン』の宝庫」と題する文章を書いていますが、全く同感です。元請けにとってこの問題は、担い手の安定的確保という側面とともに、生産性向上の側面でも重要な課題といえるのではないでしょうか。