「200兆円のインフラメンテ市場、奪取のカギはAI」はこちら
福田道路とNECは2017年1月、車載のビデオカメラで撮影した路面の映像からひび割れとわだち掘れを検出し、劣化レベルを6段階で自動判定する「舗装損傷診断システム」を開発した。最も健全性が高い「レベル1」の場合、ひび割れ率(調査対象とした道路の面積における路面破損の割合)が0~10%、わだち掘れ量が0~10mmに相当する。
開発には、ディープラーニング(深層学習)を活用したNECのAIソフトウエア「NEC Advanced Analytics- RAPID機械学習」を使用した。
まずは、路面を撮影した画像を大量に用意する。次に、これらの画像と技術者による診断結果をセットにしたデータ(教師データ)をAIに学ばせる。こうして「問題」と「正解」を大量に学習したAIは、土木の専門家並みの判断力を身に付ける。
NTTコムウェアも舗装点検の市場獲得に名乗りを上げた。同社が開発したのは、ディープラーニングを活用してひび割れ率や平たん性、ポットホールを算出・検出するシステムだ。4Kのビデオカメラを車のフロントガラスに吸盤で取り付け、時速30~60kmで走行しながら路面を撮影。動画を一定間隔で静止画に分割し、技術者が目視で損傷を確認した結果と合わせてAIに学習させる。
福田道路のシステムと同様に、異状があった箇所の位置情報をGPS(全地球測位システム)で記録。地図上で静止画や動画を確認できる。システムを道路台帳と関連付ければ、異状を示す情報を補修履歴などと合わせて確認したり、補修計画の作成に用いたりしやすくなる。
NTTコムウェアはこれまでに、肌の露出度などを基にインターネット上のアダルト画像をフィルタリングする技術や、監視カメラによる不審者の検出といったサービスで、ディープラーニングを活用してきた。その技術を応用した。