現場の生産性を高めて2025年には10%以上の省人化を図る――。大手建設会社が集まる日本建設業連合会(日建連)が15年に公表した長期ビジョンで掲げた目標だ。10%という数字に対して、「それほどでもないな」「そのくらい簡単に実現できるだろう」と思う人は珍しくないだろう。
しかし、長時間労働や休日の少なさなどが問題に上がる建設業界。労働環境の改善なども加味すれば、人員の10%削減にはそれ以上の生産性向上が必要だ。見た目の数字はそれほど大きくなくても、長年にわたって生産性の改善が進まなかった建設業界にとって、その達成は容易ではない。
国土交通省は、土木の領域で既にi-Construction(アイ・コンストラクション)と呼ぶ取り組みを始めている。建設の生産プロセスに先端技術を取り込んで、現場の生産性を高める施策だ。土工事をはじめとした比較的単純な工種を皮切りに、導入領域が広がっている。
現場を革新する取り組みは2018年以降、民間事業者が発注者の中心を担う建築分野でも広がる見通しだ。背景には深刻な人手不足や高齢化がある。
日建連の長期ビジョンでは、14年度に343万人在籍した技能労働者が25年度に216万人まで落ち込むと推計する。そして、新規雇用で少なくとも77万人を賄うと同時に、35万人分を省人化で対応する方針を掲げた。