1日に1000万個以上――。これは日本の物流網で日々運ばれている宅配便の個数だ。国土交通省によれば、2016年度の宅配便取扱個数のうちトラックが運ぶのは約40億個。前年度に比べて1億個以上増えた。
こうした宅配サービスの急激な普及と荷物の増加に対して、人手の確保が追い付いていない。物流最大手であるヤマト運輸は2017年に対策の一環として、配達時間帯の指定枠を縮小。小売業界では、セブン&アイ・ホールディングスがECサイト「omni7」を通じての配達時間帯の枠を減らした。
悲鳴をあげる物流業界の救世主が、自動運転技術を使った新しい物流システムだ。例えば、高速道路でのトラックの隊列走行は運転手不足の解決策の一つとして期待されている。
トラックの隊列走行は、複数台のトラックが一列に連なって高速道路を走る方法を指す。先頭車両など一部のトラックは人間の運転手による有人運転、残りのトラックは有人のトラックを追尾するなど無人運転で走る。
大手通信事業者やベンチャー企業などが実現に向けて開発を進めている。2018年1月にはソフトバンクが、ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)や、自動運転技術の開発ベンチャーである先進モビリティなどと連携し、トラックの隊列走行に関する実証実験を2017年12月から始めたと発表した。
トラックの隊列走行は政府主導で実現に向けて開発や制度整備などが進められている。2020年には新東名高速道路で実現し、早ければ2022年には事業化される見通しだ。