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隊列走行、技術的なハードルは比較的低い

 「(一般道での)乗用車の自動運転に比べれば、高速道路でトラックの隊列走行を実現させるのは、比べ物にならないほど簡単だ」。こう話すのは自動運転技術を開発する先進モビリティの青木啓二社長だ。

 青木社長はトヨタ自動車で自動運転関連の技術開発に携わった技術者。定年退職後、2014年にベンチャー企業の先進モビリティを立ち上げた。

 一般道での乗用車の自動運転では、大きく「認知」「判断」「操作」という3つの領域の技術開発が必要である。人間の運転手の代わりに、周囲の状況を認識する「認知」、どのような操作をすべきか判定する「判断」、ハンドルやアクセル、ブレーキを動かす「操作」である。

 青木社長によれば隊列走行では「認知」「判断」の技術は不要だ。先頭車両の運転手の役割だからだ。この人間の運転手を代替するための人工知能(AI)の技術開発は必要ない。これが、青木社長が「比べ物にならないほど簡単」と説明する理由である。

 後続車両が先頭車両を追尾する役割を果たすのが、車両間の通信システムである。先頭車両の加速や減速に合わせて、後続車両も加速したり減速したりする必要がある。青木社長は「車間距離を一定に保つためだ」と説明する。後続車両が車線を維持するには、先行する車両の左右の動きをトラッキングする技術の実装が必要になる。

 車線変更は、1台だけのトラックを運転する場合の操作とは異なる。後続車両の周辺にも注意しなければ車線変更はできないからだ。青木社長は「ドアミラーだけではなく、カメラによる映像伝送のシステムが必要だ」と話す。後続車両の周辺をカメラで撮影して、先頭車両のディスプレーに送信する。画像伝送にあたっては高解像度のデータをやり取りする必要があり、5G(第5世代移動通信システム)の適用が期待されている。

課題は設備投資

 隊列走行を実現させる上での最大の課題は「トラックの発着スペースをいかに確保するか」(青木社長)だという。3台のトラックが縦に並んで停められる駐車場が必要になる。

 先頭車両と2台の後続車両が「川」の字のように横に並んで駐車した状態から出発し、その後に縦に並ぶように隊列を組む、という方法もある。ただしこの方法では、先頭車両の後ろに縦に並ぶまでに「認知」や「判断」を必要とする自動運転の技術が必要だ。

 既に整備されている高速道路のサービスエリアやパーキングエリアなどは、「隊列走行を想定してはいない」(青木社長)。新東名高速道路で隊列走行を事業化するとすれば、東京と名古屋のほかにも中間拠点として複数の駐車スペースが必要になるだろう。

自動運転技術を使った高速道路のトラック隊列走行をめぐる未来年表。政府主導で、新東名高速道路などの主要高速道路で実証実験が進む見通し。実現のカギを握るのは、隊列走行に関する基準や免許といった制度の整備だ。隊列走行が技術的に実現しても量産化技術の早期の実現に課題が残りそうだ。 (資料:日経 xTECH)
自動運転技術を使った高速道路のトラック隊列走行をめぐる未来年表。政府主導で、新東名高速道路などの主要高速道路で実証実験が進む見通し。実現のカギを握るのは、隊列走行に関する基準や免許といった制度の整備だ。隊列走行が技術的に実現しても量産化技術の早期の実現に課題が残りそうだ。 (資料:日経 xTECH)
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 物流業界の運転手不足を解決するためのトラックの隊列走行。実現のカギを握るのは、政府の主導のもとに業界全体が本気で投資できるかどうかにかかっている。