現在発売中の日経BPムック「東京大改造マップ2018-20XX」で取り上げた各拠点エリアのなかで、アートやカルチャーを軸とする特色ある都市ビジョンを掲げているのが池袋だ。現在進行中の大規模案件(延べ面積1万m2以上)から、近未来像を探ってみる。
エリアの性格:国際アート・カルチャー都市を目指す
池袋駅周辺を国が特定都市再生緊急整備地域および国家戦略特区に指定したのは2015年で、都内の主要拠点のなかでは後発の動きとなる。同年3月には豊島区役所と分譲集合住宅を複合した「としまエコミューゼタウン」が南池袋に完成し、注目を集めた。
そのなかで豊島区は、文化創造都市づくりを目標に掲げ、15年には「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」を策定した。16年には「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」を目指すという趣旨の「実現戦略」をまとめ、そこに区内の主要な大規模開発を位置付けている。
2020年に向けて:劇場、ホール、映画館が続々
JR池袋駅の北東に位置する中池袋公園に面した場所で、旧庁舎・旧公会堂跡地の活用事業として豊島プロジェクトが進む。国際アート・カルチャー都市構想の中核を担い、2020年春にグランドオープンする。一体で開発され、先行して19年に完成する新区民センターを合わせると3棟で8つの劇場・ホールを持つ場所になる。17年3月には、区の都市政策顧問を務める建築家の隈研吾氏を委員長とする審査で公募案5000件のなかから選び、「Hareza(ハレザ)池袋」というエリア名称を決定した。
19年にはさらに、Hareza池袋の南東側、サンシャイン通りに面するブロックに都心最大級のシネコンが誕生する。低層部に、通り側に開いた半屋外の商業空間を設けているのが特徴だ。
都内の住居系の地域では重点課題となる防災対策の面でも大きな動きがある。東京メトロ副都心線東池袋駅の周辺では、木造住宅密集地域(木密地域)を不燃化するプロジェクトとして、東池袋4丁目2番街区地区再開発と東池袋5丁目地区再開発が進み、後者は19年に完成する。また、これらと近接する造幣局地区まちづくりでは区域の過半を占める防災公園の整備が先行し、19年度に完了する。