タクシー市場の縮小が止まらない(図1)。ハイヤーを含む利用者は26年間で半数以下まで落ち込み、この動きは今後も続く見方が強い。さらに追い打ちをかけるのが、世界で躍進する海外配車サービス大手の日本進出だ。劣勢となった日本のタクシー事業者は、三つの策で生き残りを図る。利用料金の低減、アプリの利便性向上、新型のタクシー専用車両の投入だ。対配車サービスの動きを強め、日本市場を守り抜けるか。
「海外配車サービスの認知度が日本で高まり、その使いやすさが浸透すれば、次は(自家用車を使った)本場の相乗りが日本で解禁されるかもしれない」――。都内タクシー会社の幹部は危機感を募らせる。世界市場で成長を続ける米ウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)や中国・滴滴出行の日本進出は、長年にわたり保守的な戦略を取り続けてきた日本のタクシー事業者にとって、まさに黒船の来襲だ(図2)。
海外の配車サービス会社が日本で提供を始めるのは、スマートフォン(スマホ)を使って近隣を走るタクシーを呼べるサービスだ。国土交通大臣の許可を得ずに客を有償で送迎するのは「白タク」と呼ぶ違法行為にあたり、日本ではまだ提供ができない。国土交通省自動車局旅客課の担当者は「(白タクの禁止は)安全面や利用者保護の観点から」と理由を話す。ウーバーや滴滴出行の日本進出には、タクシー会社との提携を契機に日本市場での信頼を獲得し、白タク行為の解禁を狙う思惑がありそうだ。
安全面や利用者保護の課題が解決できれば、利用料金の安さに既存のタクシーを圧倒する可能性がある。例えば米国内でウーバーを利用して配車した場合、料金はタクシーに比べて3割以上安い。車格や相乗りの人数によって料金は変動するが、5割以上安くなることもあるという。
相乗りで利用料金を安く
対抗する日本のタクシー会社は、安価に利用できる相乗りサービスで巻き返しを図る。国土交通省が旗振り役となり、日本交通と大和自動車交通の2社が参画。期間は2018年1月22日~同3月11日である。東京都の1000台規模のタクシーで相乗りの仕組みを利用できるようにした。