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研究室には無い魅力アピール

 どうにかAI人材を確保し、LIXILの競争力を高めたい――。激しい獲得競争の中でも「採用する手段はある」と小和瀬CIOは自信を見せる。

 その方法の一つが、2014年に始めた大学との共同研究プロジェクトだ。慶応義塾大学や筑波大学などと進めている。研究に必要なデータをLIXILが提供し、研究者や学生に分析してもらう。

 提供するのは、LIXILがこれまで収集してきたコールセンターの問い合わせ履歴や修理部品の配送データ。長年にわたり蓄積したこれらのデータを活用し、コールセンターの人員数の予測や、修理業務を効率化するための部品在庫の最適化などを研究する。

 優秀な学生と共同プロジェクトを実施できれば、学生は「入社後に携われるプロジェクトを具体的にイメージできる」(LIXILの小和瀬CIO)ため、就職に当たって応募のきっかけになりやすい。他の学生に対しても、LIXILではデータ分析やAI活用でどのような成果が得られ、どのように社会に貢献できるかを明確に示すことができる。共同研究プロジェクト自体は採用活動と直接の関係はないが、プロジェクトを経験した大学生がこれまでに5人ほど新卒で入社したという。

 共同研究のほかに大学生向けのインターンシップも実施している。同社の社員が2週間にわたりマンツーマンで指導し、「実務的なデータ解析をテーマに取り組んでもらう」(小和瀬CIO)。最終日には社内で成果発表会も開催する。

 あるインターンシップ生から「架空のテーマではなく、現実にあるテーマに取り組めるため、非常に勉強になった」との感想をもらったという。AI技術のビジネス応用を見据えた実践的な課題が、研究室の中にはないテーマとして新鮮に感じられたようだ。

 LIXILは共同研究やインターンシップといった取り組みを通じ、少しずつ認知度を高めながらAI人材の獲得につなげる考えだ。「AI技術の開発に取り組む企業としての認知度を高められれば、中途採用などもしやすくなるはず」と小和瀬CIOは話す。住宅設備の大手メーカーから「AI人材にとっての人気企業」へと認知を広げられるか、LIXILの地道な挑戦は続く。