2019年12月に日本市場に参入した中国の大手スマートフォン(スマホ)メーカーのシャオミ(小米、Xiaomi)。同社は、中国内ではIoT家電のブランドとしても知られる。既に日本市場に参入しているファーウェイ(Huawei)やオッポ(OPPO)といった他の中国スマホメーカーと比較しても異色の存在だ(関連記事:日本に参入した“異質”のメーカー、中国シャオミの野望 )。日本事業の責任者で東アジア地域の事業を担当するSteven Wang氏(Global Department General Mnager、East Asia Region)に話を聞いた。(聞き手:内田 泰、松元則雄=日経 xTECH/日経エレクトロニクス)
日本参入を決めた理由と、日本市場への期待を教えて頂きたい。
Steven Wang氏(以下、略):シャオミの海外市場への進出は2016年に始まりました。まずインド、インドネシア、その後欧州、ラテンアメリカという順で進出しました。海外事業の成長は速く、既に当社の売り上げの5割を占めます。
日本進出を決めた理由は2つあります。第1が日本のスマホ市場の変化です。総務省が定めた携帯電話料金の新ルール(継続利用を条件とした端末購入補助は一切禁止。継続利用を条件としない場合も端末購入補助は最大2万円、2年契約を中途解約する際の違約金は1000円以下にするなど)を定めたことが背景にあります。当社製品のコストパフォーマンスを強みにできる事業環境が整ったと考えました。
第2が「5G(第5世代移動通信システム)」です。2020年には日本市場でも本格的に5Gサービスが始まります。新製品を日本市場に投入するには良い機会だと考えました。
既に中国では、2019年12月に米クアルコム(Qualcomm)の「Snapdragon 855+」を搭載した機種を発表しました(全面ディスプレーのMi MIX Alpha)。2020年には、5Gに対応した10の新製品を発表する予定です。
中国ではシャオミはスマホメーカーというより、IoT家電やIoTサービスの会社として知られていると聞きます。
“スマホメーカーではない”という部分については、少し誤解があります。シャオミ社内では「ダブルハンズ(両手)」と言っています。つまり、スマホとIoTの両方の事業領域で戦うという意味です。
スマホは今でも当社の主力製品で、出荷台数は世界で第4位(2018年の出荷データで約1.2億台)です。スマホは当社のユーザーにとって中心となるデバイスですし、シャオミにとってもそれは同じ。スマホがなければ、IoTは実現できないと我々は考えています。
当社のIoT製品事業は非常に業績が良く、シャオミとしては最大の製品群になります。出荷台数はスマホとパソコンを除いて約2.13億台です。
今後5年間に約100億人民元(日本円で約1600億円)を、AI(人工知能)とIoTに投資する計画です。シャオミが成長を続ければ、スマホやIoT家電も(AIとIoTが融合した)「AIoT」として、引き続き成長していくとみています。