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2010年の創業から短期間で売上高約3兆円の大企業に成長した中国シャオミ(小米、Xiaomi)。その成長を支える柱の1つが、IoT家電をはじめとするIoT機器だ。そのラインアップは「2000以上」(同社)。成長の裏には独自のエコシステムがある。シャオミで日本事業を統括するSteven Wang氏(Global Department General Manager、East Asia Region)に詳細を聞いた。(聞き手:内田 泰、松元則雄=日経クロステック/日経エレクトロニクス)
シャオミはイノベーションを重視していると聞いています。一口にイノベーションと言うのは簡単ですが、実現は難しいものです。御社の中でイノベーションを産み出す仕組みとは、どのようなものですか。
Steven Wang氏(以下、略) 独自のエコシステムがあります。実はシャオミが自ら開発している製品はスマートフォン(スマホ)、テレビ、ルーターの3種類しかありません。その他の製品の開発にはエコシステム内のスタートアップなどの協力企業を活用しています。当社は既に270社のハードウエアのスタートアップに投資しています。
この270社ですが、それぞれ1社で1つの製品群しか受け持たないことになっています。1製品しか担当しないので、開発速度は非常に速い。スタートアップであれば、この1つの製品の失敗がその企業の“死”を意味しますから、必死で前に進んでいきます。大体、半年~1年の開発期間で1つの製品を出しています。
IoT製品に関しては、スタートアップに投資し、そこが開発したものをシャオミのブランドで販売するということでしょうか。
シャオミの内部に投資したスタートアップを管理する部門があります。エコシステム内の企業の製品に求めるのは、前回お話した「成長の4要因」と同じです。製品には何かしらのイノベーションあり、そのデザインはシャオミの要求を満たし、そして高品質でなればならない。価格はもちろん「Honest Price(正直、つまり適正な価格)」です。
そして当社がその製品を必要と判断すれば、シャオミブランドで販売されることになります。