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 半導体製造装置業界が今、熱い。市況の底打ちが見えてきただけではない。半導体市場の爆発的な成長が始まると、製造装置メーカーが確信しつつある。「半導体市場は2030年、100兆円規模になる。トランジスタの誕生から70年で50兆円規模になった半導体産業が、もう1つ出来上がる」と、東京エレクトロン代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の河合利樹氏は言う。同氏に、半導体市場の将来と同社の戦略について聞いた。(聞き手は大石基之、田中直樹=日経 xTECH、所属はインタビュー当時)

2019年に世界の半導体製造装置市場は前年比でマイナスとなったものの、20年、21年はプラス成長になると言われている。河合社長の見方はどうか。

東京エレクトロン 代表取締役 社長 兼 CEOの河合利樹氏
東京エレクトロン 代表取締役 社長 兼 CEOの河合利樹氏
(撮影:加藤 康)
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河合氏 半導体の成長ポテンシャルは非常に高い。18年の半導体市場は4688億米ドルだった。これが30年には1兆米ドルになる。1米ドル=100円なら100兆円だ。ものすごく大きく成長していく。

 半導体事業のけん引役がパソコンやスマートフォン(スマホ)からデータに変わり、「モノ」に対するニーズからデータを活用した「コト」に対するニーズに変わることで、半導体の需要は爆発的に増える。1990年代は「コンピューターセントリック」と言われ、2000年代は「モバイルセントリック」と言われてきた。これが、今後はIoT(Internet of Things)や人工知能(AI)、5G(第5世代移動通信システム)の普及などによって「データセントリック」に変わってくる。ここが、過去と全く違う。

 米ネットワーク機器大手のシスコシステムズ(Cisco Systems)は全世界のIPトラフィックについて、2017~22年の期間に26%の年平均成長率(CAGR)で伸びると予測している。これに基づいて将来を予測すると、半導体市場は今後、過去をはるかに上回るスピードで爆発的に成長する可能性がある。

 今も「ビッグデータ」と言われるが、実はまだ「スモールデータ」にすぎない。本当のビッグデータの時代が始まるのはこれからだ。2020年は、爆発的な成長が始まる年になる。米中貿易摩擦などマクロ経済の動向は注視しなければならないが、半導体市場が今後飛躍的に成長するという大きなトレンドは変わらないとみている。

シリコンサイクルが変わる

パソコンやスマホからデータ中心への変化により、質の転換が起こりそうだ。

河合氏 そうだ。いわゆる「シリコンサイクル」と呼ばれる周期的な好不況の波が顕著だった、半導体の市況のトレンドが変わる。

 半導体の需要はこれまで、例えばOS(基本ソフト)が変わり、パソコンの新製品が登場する時に伸びた。それが落ち着くと、次のOSが出るまで、半導体の需要は落ち込む。スマホでも同じことが繰り返された。人気製品の新機種が出る時に半導体の需要が伸び、一段落すると次の機種が出るまで半導体需要は低迷した。こうした好不況のサイクルを繰り返しながら、長期的には成長してきたのがこれまでだった。

 半導体の事業は需給バランスの影響を受けるため、市況のサイクルがなくなるわけではない。しかし今後は、サイクルの谷の時期に以前ほど落ち込むことがなくなる。谷というよりも「休憩期間」くらいのイメージだ。私は「竹の節」と呼んでいるが、少し休憩する期間があり、そこで半導体の値段が下がることによって需要が回復し、次の成長期に入る。

 スマホの人気機種の影響がなくなるわけではないが、あらゆるモノとモノがつながり、その間を行き交うデータの量がIoTや5Gの普及によって今後爆発的に増えるインパクトの方がはるかに大きい。

 その一方で 米中貿易摩擦などの政治リスクやマクロ経済の動向については、しっかりと見ていく必要があると考えている。

(撮影:加藤 康)
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