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 ネット型リユース事業を手がけるマーケットエンタープライズ(東京・中央)は、国内における中古スマートフォン端末(iPhone、Androidスマホ)の取引数ランキングを2019年2月から四半期ごとに発表している。これまで日本の中古スマホ市場は、大手携帯電話事業者が国内の流通に積極的でないこともあって、なかなか盛り上がりを見せなかった。ここにきて、2019年10月施行の「電気通信事業法の一部を改正する法律(以下、改正法)」による影響が中古スマホへの追い風要因になりそうな機運が高まってきた。果たして日本でも中古スマホが消費者にとって魅力的な選択肢の1つになり得るのか。同社 中古モバイル市場アナリストの菅野辰則氏にランキングの見方や今後の見通しなどを聞いた(聞き手は加藤 雅浩=日経クロステック)。

中古モバイル市場アナリストの菅野辰則氏
中古モバイル市場アナリストの菅野辰則氏
2010年、マーケットエンタープライズに入社。Webマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在はメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。膨大なデータの分析・管理能力を生かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。出所:マーケットエンタープライズ

マーケットエンタープライズが先日発表した2019年第4四半期(10~12月)における中古iPhone端末ランキングでは、「iPhone 7」が1位、2位を占めました。そもそもこの順位とは、何に基づいたものですか。

 ランキングは4市場(ヤフオク!、メルカリ、ムスビー、ラクマ)の取引数を合計した値を基に順位を付けています。端末が売れて在庫から消えたら取引が成立したものとしてカウントしています。ただし、IMEI(International Mobile Equipment Identity)が確認できないものは除いています。ちなみにランキング中に「New」とあるのは、前回の圏外から今回トップテン入りを果たした機種(モデル)になります。

2019年第4四半期(10~12月)の中古iPhoneランキング
2019年第4四半期(10~12月)の中古iPhoneランキング
出所:マーケットエンタープライズ
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取引数の規模感はどのくらいですか。

 月間で中古iPhone端末が約1万6500、中古Android端末は約7500といったところです。もっとも、月によって取引数に変動がありますので、おおよその目安とお考えください。

SIMロック解除の機種もカウントしていますか。

 はい。ただし、まだ流通量が多くないので、ランキングには入ってきていません。

価格情報として平均価格のほかに中央値を掲載しています。違いはどこにありますか。

 平均価格は一般的になじみのある概算の金額として載せています。これとは別に、そのときの機種の価値を見る指標として中央値を発表するようにしています。なぜこうしているかと言いますと、例えばヤフオク!のオークションで1円からスタートした機種があったとします。通常は金額が上がっていきますが、タイトルの付け方や終了時間の設定がうまくなかったりすると、そのまま金額が伸びず、1円のまま落札されてしまうケースがあります。また、法人が大量出品するケースもあります。早く在庫をさばきたいので、往々にして相場を崩してしまうような値段で取引されたりします。こういった、いわば「異常値」を除きたいので、中央値を載せるようにしています。

それでは例えば中央値が上がったら、その機種の価値が高まったということになりますか。

 必ずしもそうではありません。中央値は大抵の場合、下がっていきます。中央値が上がるというのは、かなりまれなケースです。以前、「iPhone SE」が販売終了に伴って新品の流通がなくなり、中古市場での取引数が増えて中央値も上がったことがありました。これはiPhone SEの特徴が小さな画面にあるという、歴代のiPhoneの中でも特殊な存在だったからといえます。