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 約50万アイテムにも及ぶ在庫を持ち続ける独自路線でEC(電子商取引)ビジネスなどを急拡大させている機械工具卸売業のトラスコ中山。在庫を持つメリットがある一方で、デメリットはないのか。代表取締役社長の中山哲也氏に聞いた。(聞き手は岩野 恵、高市清治、中山 力)(前編はこちら

トラスコ中山代表取締役社長の中山哲也氏
トラスコ中山代表取締役社長の中山哲也氏
(写真:加藤康)
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倉庫、車、データセンターなど大動脈は自前で

 現在、物流センターは大小合わせると27カ所あります。それだけ在庫を持つメリットがあるとお話しても、倉庫代、地代がかかるなど在庫を抱えるデメリットがあるという指摘を受けることがあります。ところが、当社は倉庫代や地代の心配はないのです。全部自前でそろえる経営スタンスだからです。物流センターは基本的に自社で土地を買って自分たちで倉庫を建てます。本社、支店も含め、家賃を払っているところはほとんどありません。

 配送に使う車やオフィスで使う事務機はもちろん、取引情報を管理するデータセンターも自前です。サーバーは東京本社5階のガラス張りの中に置いています。大地震など万が一の際もデータを守れるように建物は免震構造で、非常用電源も用意し、電源は2系統から引きました。会社の大動脈を他人資本に依存しないというポリシーなのです。

トラスコ中山東京本社にあるデータセンター
トラスコ中山東京本社にあるデータセンター
(写真:加藤康)
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 他にも在庫が多いデメリットとして廃棄量が増えるという指摘もあります。当社が販売する工具などは、流行があまりないですし、陳腐化しにくい傾向にあります。年間で廃棄する商品は、使用期限切れや破損した物などを含めても5000万円程度です。現在の在庫が約426億円ある内の約5000万円ですから、割合にすると0.1%ほどなのです。