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儲かるビジネスになり得るのか。

 同ビジネスでの儲け方は主体によって変わる。主導権を握るためには、大規模な投資を実行に移す意思決定の速さが必要だ。車両メーカーの立場では、電池パックと車両の両方を手掛けながら規模を拡大していくことはもちろん、MaaSビジネスとしてサービスを提案して儲けにつなげる必要がある。

 電池を手掛けないメガサプライヤーとしては、交換式の電池パックを載せるEVのプラットフォーム(PF)を規格化して、これらを構成する部品、およびECU(電子制御ユニット)や通信システムなどを丸ごと提供するやり方がある。この場合、電池パックは大量生産の既製品セルを上手く組み合わせて造る。

 電池パックを手掛けるメーカーは儲けやすい。同仕組みで先行する台湾ゴゴロ(Gogoro)が代表格だが、車両を手掛ける以上に自社の電池パックを「型」として普及させる戦略をとっている。規格化した電池パックと交換ステーションの仕組みを他社にも供給して、規模を一気に拡大する。工場の稼働率を高めて車両と電池を安価に造っていく。

交換式の電池パックはどう変わっていく。

 どこかのタイミングで電池パックの標準化が起きる。似たようなサイズの車両が異なる規格の電池パックを採用していては普及は望めない。電池の価格は下がらないし、交換ステーションの整備も進まない。規格の標準化は、参入する各社が虎視眈々(たんたん)と狙っている。

 ホンダは、電池交換のPFビジネスが儲かると踏んで、まずは排気量125cc相当のEVスクーター「PCX ELECTRIC」を投入した。しかし、電池パックのシェアリングまでは手を広げておらず、まだ同社の“本気度”は見えてこない。少なくとも、地域や法人用途で活用するといったサービスの提案がホンダには不可欠になるだろう。

 ホンダが構想するのは、個別のモビリティーのためだけではなく、同様の電池パックを多用途で使い回せるようにすること。充電済みの電池パックが交換ステーションで非稼働な状態になっていては儲けが減る。稼働率を高めることは、電池パック1個当たりの価値を高めることにつながる。稼ぎやすい体制を整えて投資を早い段階で回収できる。

世界各地で電池交換式EVが登場している。写真はドイツの企業連合が開発した小型の4輪EV(撮影:日経 xTECH)
世界各地で電池交換式EVが登場している。写真はドイツの企業連合が開発した小型の4輪EV(撮影:日経 xTECH)
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リチウムイオン電池パックはシャシー底部に8個並べて搭載する(撮影:日経 xTECH)
リチウムイオン電池パックはシャシー底部に8個並べて搭載する(撮影:日経 xTECH)
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