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 光る曲面が独特な印象を与えるテールランプ、ロゴが光る商品ラベル、ガラス板に浮き上がるタッチスイッチ。これらの特徴的な品々に使われているのが有機EL照明だ。開発したのはコニカミノルタ パイオニア OLED(KOPO)。コニカミノルタとパイオニアが2017年6月に設立した有機EL照明事業を手掛ける合弁会社である。同社CTOの辻󠄀村隆俊氏と経営企画部部長の井田和長氏に今後の有機EL照明事業の戦略について聞いた。

有機EL照明は、コスト面でLED照明に劣ります。有機EL照明は普及するのでしょうか。

辻󠄀村氏:有機EL照明ならではの価値を示すことが、普及のために必要だと考えています。例えば車載では、曲面が均一に発光することです。自動車メーカー、特に高級車メーカーは「一目で違いが分かるもの」を求めています。「微妙に違う」では駄目。曲面で均一に発光するテールランプは、まだ世の中のどこにも出回っていません(図1)。これは自動車メーカーにとって大きな魅力になるでしょう。

図1 フレキシブル基板の有機EL照明パネルを用いたテールランプの試作品
図1 フレキシブル基板の有機EL照明パネルを用いたテールランプの試作品
「第45回東京モーターショー2017」に出展した。(写真:パイオニア)
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井田氏:自動車はデザイナーの立場が非常に強い業界です。デザイナーは、新しい表現を実現できるデバイスがあれば「使ってみたい」と考えてくれます。そこを突破口にして我々の有機EL照明の採用を狙います。最初は高級車種からです。ただし、採用が増えて大量に生産、出荷できるようになれば、有機EL照明のコストは下がると見ています。当社のフレキシブル基板の有機EL照明パネルはロール・ツー・ロール方式で生産するためです。

 2017年の「第45回東京モーターショー2017」にフレキシブル基板の有機EL照明で構成したテールランプを展示しました(図1)。一見すると複雑に見えますが、全て同じL字の形をした有機EL照明パネルで作られています(図2)。曲がったフレキシブル基板のレイアウトを変えるだけで、このようなデザインを実現しています。

 私たちは、このフレキシブル基板を用いた有機EL照明について、2020年以降に発売される自動車への採用を目指しています。サンプル品の出荷は既に始めています。

図2 図1のテールランプを構成する有機EL照明パネル
図2 図1のテールランプを構成する有機EL照明パネル
テールランプを構成する照明パネルは全て同じ形状である。レイアウトを変えることで多様な表現を実現できる。
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