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 SUBARU(スバル)が、パワートレーン開発の方針を決めた。世界の潮流に逆らい燃費規制を緩くする米国が主軸のスバルにとって、電動化への舵(かじ)の切り方は悩ましい。2030年を見据えて、じっくり取り組むことにした。当面は、水平対向エンジンの燃費性能向上でしのぐ。トヨタ自動車と共同開発した高出力ハイブリッド車(HEV)を2024年前後に投入し、電動化を本格的に進める。スバルでパワートレーン開発を統括する執行役員の江里口磨氏に、新方針の背景や狙いを聞いた。

SUBARU執行役員第二技術本部長の江里口磨氏
SUBARU執行役員第二技術本部長の江里口磨氏
(出所:SUBARU)
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スバルにとって販売の中心である米国では、燃費規制を緩和する方針のトランプ政権(連邦政府)と、厳しい規制を維持したいカリフォルニア州が裁判で争う極めて不透明な状況だ。

 確かに不透明だが、2030年までの時間軸で考えると、電気自動車(EV)を含む「ZEV(排ガスゼロ車)」が一定数は要る。「企業平均燃費(CAFE)規制」も厳しくなる方向と考えている。長期で考えると逆方向に進まない(規制緩和にならない)と想定し、EVやHEVなどの電動車両を用意する。

スバルのプラグインハイブリッド機構
スバルのプラグインハイブリッド機構
トヨタの横置きシステムを縦置きに作り替えた。(日経クロステック撮影)
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トヨタと共同開発するEVを近い将来に発売する計画だ。ただ燃費規制を緩和したいトランプ大統領が2020年の選挙に勝てば、しばらく米国に電動車を投入する必要はないかもしれない。

 一時的な大統領選の行方でパワートレーン戦略を決めるのではなく、10年後にどうするのかという視点で考えている。

多くの調査会社の予測で、2030年の米国におけるEVの販売比率は1割以下だ。一方でスバルは、2030年に世界販売の40%以上をEVとHEVにする目標を打ち出した。内訳はどうか。

 調査会社やメガサプライヤーなどが予測した米国のEV比率を見ると、2030年段階で多めに見積もって10%を少し超えるくらい。当社も、それを上回ることはないとみている。

 4割の内訳は言えない。今はいろいろ想定しながら議論しているところで、まだ軟らかい(数値を決めていない)状態だ。

スバルにとって、中国市場の位置付けは小さい。それでも、世界で最も厳しいと言える「NEV(新エネルギー車)規制」を進める。中国を意識したパワートレーン開発を手掛ける考えはないか。

 NEV規制が厳しくなる中で、なんらかの「構え」はしたい。ただ具体的に何かといわれると、そこまで踏み込んで考えていない。

スバルのHEVは今後、自ら開発する「e-BOXER(イーボクサー)」と呼ぶマイルド(簡易)HEVと、これからトヨタと共同開発するストロング(高出力)HEVの2種類になる。どう使い分けるのか。