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 SUBARU(スバル)が、パワートレーン開発の方針を決めた。2030年を見据えて電動化にじっくり取り組む。当面重要になるのが、水平対向エンジンの燃費性能の向上だ。スバルでパワートレーン開発を統括する執行役員の江里口磨氏に、新方針の背景や狙いを聞いた。

SUBARU執行役員第二技術本部長の江里口磨氏
SUBARU執行役員第二技術本部長の江里口磨氏
(出所:SUBARU)
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2020年後半に発売する次期「レヴォーグ」の水平対向ガソリンエンジンで、過給リーンバーン(希薄燃焼)を実現する。

 開発の最終段階に達しており、品質面を含めてしっかりとした形で商品にできそうだ。燃費を良くするために、希薄燃焼の採用を決めた。

 希薄燃焼を採用したからといって、走りを犠牲にして顧客に我慢を強いることはない。みなさんの想像以上に良い走りにできると思う。

 もちろん、走行領域の全てで希薄燃焼を実現するわけではない。(窒素酸化物が増える)排ガスについては、適切な対策を打つ。もうすぐ詳細を発表できる。

次期水平対向エンジン
次期水平対向エンジン
(出所:スバル)
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次期レヴォーグ試作車
次期レヴォーグ試作車
(日経クロステック撮影)
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2030年ごろをめどに、水平対向エンジンの最高熱効率で45%を目指す考えを明らかにした。50%までは目指さないのか。

 内閣府のプロジェクトで研究レベルながら50%を達成し、その技術要件は理解しているつもりだ。ただ(装置が複雑で)「お化け」みたいなエンジンになっている。顧客が許容できる価格で量産するのは、なかなか難しい。45%くらいが妥当な目標値ではないだろうか。当然、希薄燃焼になる。

欧州中心に、水噴射や可変圧縮比、プレチャンバー(副室燃焼)といった技術の提案が盛んだ。

 「採用する」「しない」という“手段”の話から入らないようにしている。目的は効率を上げることだ。今重視しているのは、燃焼を可視化して、現象をきっちり把握すること。把握したあと、何を使うのが有効なのかを考える。