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 “眠れる巨象”と言われ続けてきたインドの自動車市場が、ついに目を覚まし始めた。2017年の新車販売台数が410万台となり、ドイツを抜いて世界第4位に浮上したのだ。13億人を超える人口を抱えるインドの状況を考えると、この事実は通過点に過ぎないのだろう。

 シェアはわずか4.7%で業界6位――。クルマの購買熱が日に日に高まるインドで苦戦しているのがトヨタ自動車だ。将来の巨大市場を攻略する策の一つとして、スズキとの連携を強化したばかりである(関連記事:トヨタとスズキ、インドで相互OEMに踏み切る“危機感”)。

 トヨタの現地合弁会社Toyota Kirloskar Motor(TKM)で社長を務める立花昭人氏が日経 xTECH/日経Automotiveなどの取材に応じ、「ダイハツとスズキの良いところをそれぞれ使っていく」と語った(図1)。

(聞き手は久米 秀尚=日経 xTECH/日経Automotive)

図1 取材に応じたToyota Kirloskar Motor(TKM)社長の立花昭人氏
図1 取材に応じたToyota Kirloskar Motor(TKM)社長の立花昭人氏
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SIAM(インド自動車工業会)の統計によると、2016年度の乗用車市場におけるシェアは4.7%と苦戦中だ。インド市場全体の伸びに比べてトヨタの成長率が悪い。理由はどこにあるのか。

 我々の車両ラインアップがインド市場の拡大に追いついていないのが理由だ。カバーしている市場セグメントが少ない。当社のメインの車種は大型のMPV(多目的乗用車)「Innova」とSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「Fortuner」である。セダンの「カムリ」や「カローラ」もあるが、ほとんどCセグメント以上の大きいクルマだ。

 参入した市場ではトップあるいはそれに近いシェアを確保しているものの、当社の車両ラインアップでは市場全体の30%しかカバーできていない。インド市場は70%がAセグメントとBセグメントの小型車である。拡大しているのも、(トヨタのラインアップが手薄な)小さいクルマの市場だ。