東北大学は現在の青葉山キャンパス(仙台市青葉区荒巻字青葉)の西側に、「青葉山新キャンパス」の整備を進めており、ここを「グローバル・イノベーション・キャンパス」にすべく産学連携体制の構築を推進している。この体制作りの一環として、青葉山キャンパスの西端にある未来科学技術共同研究センター(NICHe)に、産学連携機構や、子会社のTLO(技術移転機構)である東北テクノアーチ(本社仙台市)を移転・集結させ、アンダー・ワン・ルーフ体制を2018年度後半から築き始めている。
グローバル・イノベーション・キャンパスでは、「B-U-B(Business-University-Business)」という大学を中心として異分野の企業群が組織的に連携する新しい産学連携モデルの実現を目指している。同大理事で産学連携担当・連携機構長の矢島敬雅氏に、B-U-Bによるイノベーション創出と具体的な連携について聞いた(聞き手は丸山正明=技術ジャーナリスト)。
東北大を核とする企業間組織連携であるB-U-Bが目指すものは何でしょうか。

東北大は、グローバル・イノベーション・キャンパス構想を掲げて、広大な青葉山新キャンパスを整備し、これまでにも幾つかの組織的な共同研究体制を実践してきました。今回のB-U-B連携構想の先進事例は、2012年10月に設けた「国際集積エレクトロニクス研究開発センター」(CIES)です。同大大学院工学研究科教授の遠藤哲郎センター長の研究開発成果と指導力を基に、集積エレクトロニクスシステムの融合を目指す国際的な産学連携拠点となっています。
2016年以降、CIESは企業からの外部資金を年間に15億円ほど集めて自立運営しています。米国の半導体関連企業とも連携するなど国際的な産学連携も実践し、国内外の集積エレクトロニクス産業の共同開発拠点になっています。
これまでスピントロニクス分野を重点分野の1つとして強力な研究開発体制を築いてきました*1。CIESは、同分野での産学連携の中核拠点として発展中です。このスピントロニクス分野でのB-U-B連携体制構築が産学連携の第1の矢です。現在、同大大学院理学研究科の平山祥郎教授を中心に世界トップレベルの研究が進められています。