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2021年3月、いち早くグローバルでのカーボンニュートラル達成を宣言したDMG森精機。その背景には環境意識の高いドイツ拠点の存在がある。カーボンニュートラル実現の戦略と施策を、DMG森精機取締役社長の森雅彦氏に聞いた。(聞き手は吉田 勝、高市 清司、野々村 洸、構成は小林 由美=facet)

 二酸化炭素(CO2)排出量の削減については、日本工作機械工業会のガイドラインに基づいて取り組んできました。2021年3月には、グローバルで生産する全製品の部品調達から出荷までの工程におけるカーボンニュートラルを達成しています。この活動をさらに推し進め、22年には原料調達から製品販売や輸送、さらにはユーザーの工場での使用や廃棄までを含めたサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目指します。

DMG森精機取締役社長 森 雅彦氏
DMG森精機取締役社長 森 雅彦氏
もり・まさひこ:1985年京大工学部卒、伊藤忠商事に入社して繊維機械の営業を経験したのち、93年森精機製作所(現・DMG森精機)に入社。94年取締役。常務取締役・専務取締役を経て99年、代表取締役社長就任。2001年から日本工作機械工業会副会長。08年から京都大学経営協議会の学外委員。03年に東京大学で博士号を取得。1961年生まれ、奈良県出身。(撮影:加藤 康)
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太陽光やバイオマス発電を導入

 国内では、事業所の照明にLEDを採用して節電したり、太陽光発電やバイオマス発電を工場に導入したりといった対策を進めています。具体的には、奈良事業所と伊賀事業所、東京グローバルヘッドクォータ(東京GHQ)などでの取り組みを強化しました。

 これから改修が始まる奈良事業所では、社屋の屋根を改修して太陽光発電設備を新たに設置します。伊賀事業所への導入も検討中です。数十億円の初期投資にはなりますが、天候が良ければ工場内の電力を全て太陽光発電でまかなえると試算しています。

 伊賀事業所にはバイオマス発電設備も21年秋に設置予定です。太陽光発電と併せるとかなり自給自足できるとみています。電力だけをみると購入したほうが安価ですが、バイオマス発電設備は熱も利用できます。伊賀事業所ではその熱を塗装工場で利用しますし、いずれは社員寮や社宅での利用も視野に入れています。

 最近は価格が下がってきたこともあり再生可能エネルギー(再エネ)由来のCO2フリー電力の利用も進めています。20年4月には東京GHQの電力を100%CO2フリーに変えました*1。伊賀事業所も同様で、名古屋本社も21年4月に切り替え済みです。今やコストがネックになってCO2フリー電力の導入を躊躇(ちゅうちょ)するという時代ではありません。

*1 東京GHQではオリックスからCO2排出量ゼロとなる再エネ由来の電力を調達している。

ドイツの動きに刺激、最初はピンときていなかった

 こうした取り組みの背景にはドイツ拠点の存在があります。計画的に作られた都市が連なる欧州の国では、自分たちで環境を制御するという意識が強い。ドイツDMG MORI AGでは、以前から太陽光発電などの導入を進めていました。ドイツではそうした取り組みを進めて初めて世の中からの尊敬されるようになるのです。