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アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)の経営統合により2021年4月に発足した新生「アイシン」。CDO(Chief Digital Officer)の鈴木研司氏が先頭に立ち、全ての業務でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める。IT技術者に一任せず、現場主導で仕事のプロセスを変えることがCASEへの対応で大きな力を生むはずだという。(聞き手は岩野 恵、木崎健太郎、吉田 勝)

アイシン CDO(Chief Digital Officer)の鈴木研司氏
アイシン CDO(Chief Digital Officer)の鈴木研司氏
(写真:早川俊昭)
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 経営統合を機に「DX戦略センター」という組織を立ち上げました。アイシンの全カンパニーをカバーし、聖域なく改革のメスを入れてDXを推進する目的です。全社プロジェクトと位置付け、社長直轄の組織として設置しました。

全てのカンパニーでDX

 自動車関連のビジネスはCASE(Connected、Autonomous、Shared&Service、Electric)に向けた変革に迫られており、アイシンも例外ではありません。CASEに移行する武器としてDXはどうしても必要になります。その対象は、全社のあらゆる業務です。コネクテッドでも電動化でも、デジタル化を当たり前にやっていないと競争力が生まれないのです。

 DXは、従来のIT化とは異なります。これまでIT部門は、他の部門から独立しているのが一般的だったと思います。従来はそれでもよかったかもしれませんが、DXを進めるには不十分だと感じました。もっと気合を入れて、全社に関わる組織として発足させたのがDX戦略センターなのです。

 そのDX戦略センターには、DX推進部に加えてDS部(データサイエンス部)を設けました。ビッグデータの分析や人工知能(AI)の応用を主導する部署です。2020年まで技術本部の中に設置していましたが、実際には技術本部にとどまらず工場のデータも取り扱うなどの活動を進めていましたので、やはり全社に関わる位置付けにするのがよいと考えました。

 DS部のメンバーは人工知能の技術に長けていますが、コンピューターの中だけでは技術を駆使しても実際の効果を測れません。彼らは実際に技術を適用する現場を持っていないことが悩みでした。AIを適用する対象は実際のデータがある現場ですから、DS部は現場に興味を持ちます。一方でDX推進部は現場のDX化を進めることが任務です。2つの部隊が一緒になればデータの利活用が加速すると思い、一体化させました。