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 ウイルスを不活化する独自のオゾン生成装置などの開発製造を手掛けるタムラテコ(大阪府東大阪市)は、新型コロナウイルス感染症拡大によって一躍注目を集めた。同社の製品需要は急増したものの、生産能力が追い付かず、多数の受注残を抱えていた。そこに支援の手を差し伸べたのがコニカミノルタだった。「そんな大手がなぜ東大阪の中小企業に?」。当初はコニカミノルタの提案をいぶかしんでいたというタムラテコ社長の田村耕三氏。後編では田村氏から見た協業の経緯と変化をお届けする。(聞き手は岩野 恵、吉田 勝)

コニカミノルタと出会うきっかけはNHKの報道だったそうですね。

田村氏:最初は関西限定で放送されたニュースだったが、全国版で再放送されたため非常に大きな反響があった。特に多かったのが、ファンドなどからの金融支援の提案。しかし、(もうけ話に乗りたいとの思惑が透けてみえて)全て断っていた。初めはコニカミノルタも金融支援などを提案する会社と同じだろうと思い、会わなかった。

 それでもコニカミノルタから、「(サプライヤーなどに)お悩みごとがあれば課題解決するのが同社の文化」と熱心な説明を受けて、次第に話をするようになった。色々な支援の話がある中、生産面の支援を申し出てくれたのはコニカミノルタだけだった。そうしてオンラインで打ち合わせを重ねるうちに、竹本(充生)さんの実直な人柄も伝わってきた。9月に初めて大阪で実際に会うときは、すっかり親しみを感じる間柄になり、コニカミノルタというより竹本さん個人に会うという感覚だった。

タムラテコ代表取締役・社長の田村耕三氏
タムラテコ代表取締役・社長の田村耕三氏
(出所:タムラテコ)

コニカミノルタが部材調達に協力した製品はどのようなものですか。

 2つある。1つは「BT-03」、もう1つは「BT-088M」という製品。BT-03は有人環境で使ってもらうオゾン生成装置だ。救急車や病室、防衛用の船、潜水艦の中などで使う。コロナ禍で需要が急騰した。それまで年間の販売台数が約1000台だったところから、急に3万5000台まで増えた。役所に納入するものは納期に間に合わないと販売店にペナルティーが科されることもあり、大量の受注への対応が急務だった。

 BT-088Mは無人環境で使う医療機器で、空気中に広がるオゾンが、アルコールやホルマリンのように室内を消毒する。病室、磁気共鳴画像装置(MRI)室などに置くだけで済む上に、時間がたてばオゾンは酸素に変わるので後処理もいらない。環境にもよるが60m3の部屋の場合、2~3時間でホルマリンを使った消毒と同等の効果が得られる。従来レントゲンやコンピューター断層撮影装置(CT)で患者が接触した場所は、技師などがアルコール消毒していたが、BT-088Mなどのオゾン消毒器を導入すれば、そうした消毒作業による感染リスクを抑えられる。

 新型コロナの感染拡大当初はアルコール不足もあり、急に引き合いが強くなった。約250万円する特殊な機器なので、もともと生産台数は少なく、防衛省などに年間50台ほどを納入する程度だった。ところが、コロナ禍で自治体や病院の需要が増え、受注は2000台超にまで跳ね上がり、納入の優先順位付けも含めて困っていた。

オゾン生成装置「BT-088M」
オゾン生成装置「BT-088M」
医療現場などでの利用を想定している。(出所:タムラテコ)

コニカミノルタの協力によりどんな変化がありましたか。

 米国で調達が難しくなっていたBT-088M向けの濃度計センサーの場合、現地まで行って状況を調べてもらった。英語が堪能というわけではなかったが、それまでは通訳を挟まずに交渉していた。そのため先方にも当社との意思疎通がうまくいかないことへのストレスがあったのかもしれない。コニカミノルタの現地スタッフにも協力してもらい、タムラテコの置かれた状況を丁寧に説明してもらったおかげでセンサーの調達がスムーズに進み、助成金に期限のある自治体にも何とか期限までに納入できた。