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自社ブランドで倒産に直面

 一方で、我々は同時に、異なる大きなチャンスをものにしたいと考えています。スマートフォン、タブレット、パソコン、スマートウオッチといったデジタル商品の自社ブランド事業に本格参入します。いわゆるメーカーとして消費者に向けて直接マーケティングし、製品に責任を持って出荷します。

 確かに自社ブランド事業は難しい。途中工程だけを担うEMS/ODM事業と異なり、製品が期待通り売れなければ大損します。実際、私自身には苦い経験があります。2001年からEMS/ODMと自社ブランドの両方を手がけていたエヌエイチジェイというベンチャーで働いていたのですが、2005年に業績不振から突然の社長失踪と倒産というトラブルに直面しました。こうした経験があるので、JENESISを設立して間もない2014年からは裏方のEMS/ODMにほぼ専念することで着実に稼いできました。

 日本では家電の自社ブランド事業は消耗戦とみられていて、既に大半が産業機器メーカーに衣替えしています。パソコンなどでは、NECや富士通が中国Lenovo(聯想)のサブブランドになって久しいです。

 でも、自社ブランド事業は巨大市場で、着実に利益を上げる方法があるはずです。かつてアナログ家電の時代に、ソニー(現ソニーグループ)や松下電器産業(現パナソニック)よりも廉価品のニーズに応えていたのが、アイワや船井電機でした。私も幼い時、カッコいいaiwaブランドのAV機器が欲しいと思っていました。

ブランドでDX需要をつかむ

 自社ブランドのデジタル商品で固く稼ぐヒントは、例えば日本の大手外食チェーンにあります。ある外食チェーンでは、米Apple(アップル)のタブレット「iPad mini」を使っています。また別のチェーンではずんぐりしたタブレットを使っています。私はこれを見るたびに、歯がゆい気持ちになります。我々ならもっと安くて同等の性能を持つタブレットを供給できるのに、と。

 おそらく、外食チェーンの担当者も割高なiPad miniや、ずんぐりしたタブレットなんて本心では調達したくなかったはずです。でも、その時には他の良い選択肢が見つからなくて仕方なくそれらを選んだ。私はそう考えています。

 だから、突破口は端末に優れたブランドを付けて、磨き続けることにあります。「法人向け商品にブランドはいらない」「分かる人に分かればいい」。これらはDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT(インターネット・オブ・シングス)という単語が普及する以前の正解ではないでしょうか。磨き上げたブランドを備えた端末を個人にも法人にも提供していけば、法人需要を支えに我々はデジタル商品で固く稼げるはずです。