米シリコンバレーを拠点とするベンチャー企業のM&A(合併・買収)に踏み切ったテクノスジャパン。ERP(統合基幹業務システム)の導入支援を主力事業とする同社の狙いはどこにあるのか。創業以来初となる海外企業のM&Aに踏み切った理由を、社長の吉岡隆氏に聞いた(図1)。
今回の買収を実際に手掛けたのは、テクノスジャパンの米国子会社であるTecnos Global Company of America(TGCA)だ。TGCAでCEO(最高経営責任者)を務める山下誠氏にも、テレビ会議でインタビューに参加してもらった。
(聞き手は久米 秀尚=日経 xTECH/日経Automotive)
シリコンバレーに本社を置くクラウドインテグレーターの米リリック(Lirik)の発行済み株式の95%を、2018年6月18日(米国時間)までに取得した。買収額や狙いを聞きたい。
吉岡氏 買収額は332万5000ドル(1ドル=110円換算で3億6575万円)だ。当社の主力事業であるERPにビッグデータを融合させることで競争力を高めるのが狙いである。ERP市場は現在非常に好調で、調子のよいときに新たな事業の柱を作るべきと判断した。
もう一つ、テクノスジャパンのグローバル展開を見据えても海外事業を育てていく必要があった。現在はほとんどの顧客が日本企業で、米国市場を攻めたいと考えてきた。
当社は2013年に、Tecnos Research of America(TRA)という会社をシリコンバレーに設立した。最新技術の動向を探るのが目的だった。TRAに米国での販売拠点としての役割も持たせるため、2017年に社名を変えてTGCAにした。
こうしたミッションで動いていたTGCAの山下氏が見つけてきたのがLirikだった。LirikはCRM(顧客情報管理システム)の「Salesforce.com」などを中心に導入するインテグレーターである。