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2021年4月、複合機メーカーとして名をはせた富士ゼロックスは富士フイルムビジネスイノベーションに看板を変えて再始動した。米Xerox(ゼロックス)との資本提携解消、新型コロナウイルス感染症拡大による印刷需要の減少など環境が様変わりする中で社長に就任した真茅久則氏は、複合機を出発点とする課題解決型事業に活路を見いだす。(聞き手は岩野 恵、木崎健太郎)

真茅久則(まかや・ひさのり)
真茅久則(まかや・ひさのり)
富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEO(写真:加藤康)
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 当社は2019年に富士フイルムホールディングス(HD)の完全子会社となり、21年4月1日に富士ゼロックスから富士フイルムビジネスイノベーションに社名を変更しました。富士フイルムのビジネスイノベーションというからには、イノベーションを起こしていかなければならない。具体的には、「もののイノベーション」と「会社のビジネスモデルのイノベーション」の2つがあります。

横の連携でものづくりを変える

 もののイノベーションに関しては、長年手掛けている複合機・複写機で、さらにイノベーティブな製品を造っていきたい。21年4月1日に発表したA4プリンターがその一例です。従来機から体積を約40%減らし、設置場所の選択肢を広げました。小型化と高性能を両立した、かなり画期的なプリンターだと自負しています。

 小型化に成功した背景には製品開発手法の見直しがあります。それぞれの部品の設計者が連携し、全体最適を目指す体制にした。今までにないアプローチです。従来は「自分たちのパートだけ設計すればいい」という発想になりがちだった。そうではなくて、例えば小型化が目的だったらそれぞれの部品設計者が1mmずつ詰める。どうすれば最適な機能を実現できるか、お互いが譲り合いながら、すり合わせていくようにしました。

 複合機にセキュリティーやネットワーク環境を付加する場合も、同じように横の連携が必要でしょう。複合機の部材だけを設計していると、ネットワークの負荷などITの領域まで気が回らず、複合機の設計が全体最適にならない。時代が変わるにつれて、お客さんの要求も高度化しています。機械設計者だけではなくて、ネット技術者からIT技術者まで、全ての技術者が1つの目標に向かって連携し合うことが重要です。