樹脂の高精度加工を得意とするJpキュービック。伊藤雅彦社長の口癖は「できないと言わない」。キャスト品並みの表面粗さシングルナノを切削で実現するなど、オンリーワンの高度な技術力を武器に、付加価値の高い仕事をこなす。「社員の平均年収2000万円、完全週休3日残業なし」という高い目標を5年後までに実現すると自信を見せる。(聞き手は高市 清治=日経 xTECH/日経ものづくり)
樹脂加工で他の企業ができないような高精度な加工を得意としています。例えば、アクリル樹脂でキャスト品と同等の、表面粗さRa0.006(6nm、シングルナノ)の鏡面加工を、当社は切削品で実現できます(日経ものづくり2019年4月号「ものづくりQuiz」参照)。
売上高は右肩上がりです。2018年度の売上高は2015年度の約1.7倍。製造部の1人当たりの月間売上高は、材料・工具代を引いた工賃ベースでだいたい250万~300万円です。多忙時は最高で600万円になった時もあります。
けれどまだまだ足りない。もっともっと生産性を上げて社員の1時間の価値を高めたい。だって私の目標は「社員の平均年収2000万円、完全週休3日制」なんですから。5年後をめどに実現できると考えています。そんなに難しいとは思っていません。社員1人当たりの生産売上高を現在の3~4倍にすればいいんです。
スローガンは「脱製造業」。社会が製造業に持っているステレオタイプのイメージを変えたいんです。古臭くて薄暗い工場。着ているのは油まみれの作業着。長時間労働で薄給。こんなイメージを払拭したい。
例えばこの部屋。これも脱製造業の一環です。普通のオフィスや工場で使わない、店舗で使われるような材料とデザインを採用しました。工場の外観やエントランスもレストランのように凝った意匠にしました。若い社員が明るい気分で働けるようにしたいんです。
社員の待遇は現在、勤務3~4年目で平均年収は750万円、2~3年目の社員でも平均年収は600万円くらいです。地方の中小メーカーとしては相当高いと自負しています。若くてもそれなりに高給で、家族との時間や自分の趣味の時間も確保できる生活を送れる。
これがもし2000万円になれば、社員は生活、個人のプライベート、家族、それぞれの時間をもっと充実させ、楽しめます。会社の収益性をそのレベルまで高め、社員に報いる。それを実現してこそ「社長」じゃないでしょうか。