3D CADソフト「CATIA」の開発を手掛ける仏ダッソー・システムズ(Dassault Systemes)の業績が好調だ。2017年12月期の売上高は32億2800万ユーロ(約4196億4000万円)、営業利益は7億2900万ユーロ(約947億7000万円)で、3年連続の増収増益を記録した。成長の原動力は主力のCADソフトを中核に様々な製品を組み合わせて提供するプラットフォーム戦略にある。変革を進めるダッソーで、2017年11月から日本法人を舵取りするのが山賀裕二社長だ。日本IBMや日本マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムの幹部を歴任した経験を生かし、営業体制の強化を急ぐ。
日本法人の社長に就任して8カ月が経ちました。グローバルの業績は好調ですが、国内市場での課題はどこにあると考えますか。
課題はたくさんありますが、最も大きなチャレンジは企業イメージを変えることです。当社は「CADソフトの会社」と広く認知されていますが、そのイメージを払拭しようとしています。

確かに当社は、CADソフトの「CATIA」や「SOLIDWORKS」で大きくなった企業です。しかし、今やそれだけではありません。CADソフトを売るだけでなく、製造業のものづくり変革を広く支援する会社になりました。
CADソフトは設計工程で使うものですが、今では、その前後の工程で使う製品も販売しています。データの連続性を担保して開発プロセス全体の短縮に貢献するためです。
例えばシミュレーション。自動車でもPCでも製品化の前に耐久テストを実施します。現状では実際のクルマやPCでテストしている企業が多いのですが、当社のソフトを使えば、CADデータをそのまま使って、デジタル上で何千パターンものテストを瞬時に実行できます。
製造工程も支援します。スマートファクトリーといった名称で、製造業各社は工場で自動化を進めています。当社の製品を使えば、生産ラインの実態をデジタルダッシュボードで可視化して常に把握したり、状況に応じて製品ごとの生産量を修正したりできるようになります。
製品のラインアップを増やしていると。
その通りです。企業買収などを通じて製品を拡充しています。ただ、単純に製品数を増やすだけではなく、相互に連携させてプラットフォームとして動作するようにしています。
化学分野の研究開発者向けソフト「BIOVIA」という製品があります。これは買収した米アクセルリス(Accelrys)の製品で、分子レベルの解析やシミュレーションに使います。このソフトを当社のプラットフォームに組み込みました。組み立て型製造業では、製品にどの素材を使うかが大きな問題になっているためです。BIOVIAで作成した分子のデータをそのまま後工程に使えるようにしました。