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 2017年、ニコンのデジタル一眼レフカメラ「ニコンD5」53台が、米国航空宇宙局(NASA)に納入された。国際宇宙ステーション(ISS)内、宇宙での撮影や地上での記録、さらに宇宙飛行士のトレーニング用として使うためだ。実は、同社とNASAの付き合いは古く、これまでにも幾度となくカメラを納めている。1960年代の「ニコンF」から始まって、各種の機種が採用され続け、「ニコンD5」では特別な改良を加えることなくISSで使われている。また、ニコンは2018年8月23日に新マウントを搭載した高級機「Z6」「Z7」を発表し、ミラーレスカメラ市場への再参入を果たした。そんな同社のカメラ開発を長年牽引していたのが、“ミスター・ニコン”こと同社映像事業部フェローの後藤哲朗氏だ。

後藤哲朗(ごとう・てつろう)
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後藤哲朗(ごとう・てつろう)
ニコン フェロー 映像事業部 1973年に日本光学(現:ニコン)入社。「ニコン F3」の電気回路設計をスタートとして代々のフラッグシップ機の開発に携わる。「同 F5」開発の後、「同 D3」時代まで執行役員、開発本部長として全映像製品を担当。後藤研究室時代は「Df」の企画開発を指揮した。同社の歴史にも詳しい「ミスター・ニコン」としてファンにも親しまれている。

 ニコンはカメラが事業の主軸という、今の日本では珍しいメーカーとなりました。

 もともと、ニコンは信頼性の高さを自負していて、他社よりも丈夫という評価をいただいていました。信頼性に重きを置いているのは、創業がもともと軍需用光学機器に端を発しているからです。そして、戦後になってカメラ機材を作り始めたところ、優秀で丈夫なカメラということで市場でも好意的に受け入れられました。そして今でも過酷な環境で多くのカメラマンに使って頂いています。

 ニコンは、企業理念である「信頼と創造」の下、「期待を超えて、期待に応える。」(現在は「Unlock the future with the power of light」)というビジョンを掲げてきました。これは、カメラだけでなく他のハードウエアやソフトウエア、サービスにも共通するものです。この理念が連綿と受け継がれ、広い意味での信頼を勝ち得てきました。もちろん、オートフォーカス(AF)や高感度に強いといった機能・性能面での特徴もあります。ただ、それ以上に、北極圏や宇宙といった過酷な環境に対応できるカメラの提供により、ハードウエアの信頼性が評価されてきた実績を持っています。