2011年12月に発売したホンダの軽自動車「先代N-BOX」は、軽自動車の年間販売台数で4回首位を獲得した。軽自動車で最大級の車内空間を実現した他、背高タイプの軽ワゴンでトップクラスの低燃費を達成した。こうした特徴がユーザーに支持された。白土清成は、先代車の開発責任者を補佐するLPL代行を務めていた。
先代車がユーザーに支持されて好調に売れていたので、間違ったことはやってないという自信はありました。開発責任者になった人が最初に悩むのは、「正常進化でいくのか」、「先代車に比べてがらりと変えるのか」という点でしょう。
通常の正常進化を超える目標を設定
特に売れた車種の次のモデルでは、かなり大胆な改良をしないと、「さらに良くなった」ということがなかなか伝わりにくい。逆に大きく変えると、既存のユーザーから「なぜ変えたのか」と言われてしまう場合があります。
私の場合は、先代車のLPL代行を務めていましたので、最初は少し悩みましたが、2代目の開発は基本的に、「正常進化でいこう」と決断しました。正常進化とは、良いところを伸ばし、悪いところを直すということです注1)。