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目下、経営再建のさなかにある日産自動車。その復活に欠かせないのが、日翔会のバックアップだ。日翔会は、日産自動車に部品を供給する主要企業で構成された協力会。2021年7月に新たに会長に就任したのが、ニッパツ名誉会長でもある玉村和己氏だ。新規部品を日本で生み、熟成させることが日産自動車の復活につながると説く。(聞き手は近岡 裕)

 日産自動車が今、復活しようとしている。その時期に日翔会会長に指名されたのは光栄です。しかし、その一方で日産自動車と共にどのようにして日翔会を発展させていくかを考えると、身が引き締まる思いです。

 日翔会の役割は、会則によれば「会員相互の信頼を基に日産自動車と部品メーカーの相互の発展と親睦を図ること」です。その通りなのですが、より大切なのは、日産自動車の経営方針を我々が部品メーカーとして理解し、同じ方向に向かって実践していくことです。その意味で、日産自動車の経営方針や考えを日翔会の会員全体にどのように浸透させるかが、会長である私に課せられた大切な役目だと感じています。

日翔会会長、ニッパツ名誉会長の玉村和己氏
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日翔会会長、ニッパツ名誉会長の玉村和己氏
(写真:的野 弘路)

 現在、日産自動車は事業構造改革計画「日産ネクスト」を進めています。その内容についても会員企業に対してより具体的に説明してほしいと要請し、日産自動車から詳細な説明をしてもらいました。例えば、新車をもっと出していくとか、クルマのライフサイクルを短くするとか、生産能力を何割削減するとかいった内容です。日翔会全体で日産ネクストの理解がかなり進み、ベクトル合わせはほぼできたと思います。

 ただし、日産ネクストを進めるに当たって日産自動車から日翔会に対して原価低減や海外進出といった要請があるわけではありません。もちろん、個々の部品メーカーにはそうした要請はありますが、それは個別に交渉する案件です。少なくとも、私が日翔会に携わった2013年以降は、日産自動車と日翔会とはかなり深い親睦関係を保ってきたと感じています。

「復活してほしい」の一言

 日産自動車は復活するか、ですか。その問い掛けには日翔会会長か、ニッパツの名誉会長か、私個人かでいろいろと思うところはあります。しかし、どの立場でも言えるのは、「復活してほしい」の一言です。

 特に、関東経済圏を発展させるには、やはり日産自動車が元気になるというのが不可欠です。日翔会の会員が何よりも喜ぶのも、日産自動車が元気になってくれること。お客さんが元気じゃないのに、協力会だけが元気いっぱいで発展するなんてあり得ませんから。日産自動車が元気になって復活してくれることが、日翔会を構成する部品メーカー各社の発展にもつながるのです。

 我々部品メーカーにとって最も重大な事項は、生産台数です。従って、日産自動車に元気がなくなり、生産台数が落ちていくのを非常に心配していました。中でも重要なのは、国内の生産台数です。日本の生産台数がある程度確保されなければ、我々部品メーカーは日本の拠点を維持できないからです。生産拠点としてだけではありません。開発拠点としても、です。この点について、日産自動車が将来どのような方向に進むのかについて心配してきました。

 (日産自動車元会長の)カルロス・ゴーン氏が逮捕された影響は日産自動車社内にはいろいろとあったとは思いますが、我々部品メーカーにはあまり関係がありません。ブランドが傷ついて販売が落ち、生産台数が極端に減ったとなれば別ですが。少なくとも、ゴーン氏の逮捕や逃亡の影響は全く受けていません。