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 2022年9月、全長約3.6m、全幅約2.0m、高さ約2.1mで最大4人が乗れる世界初の巨大4足歩行ロボットが誕生した。手掛けたのは世界各地の遊園地にジェットコースターなどを納入する三精テクノロジーズ。なぜ、そしてどのように、かつてない形のロボットを開発したのか。同社で4足歩行ロボット開発のプロジェクトリーダーを務める取締役常務執行役員CTO(最高技術責任者)神戸事業所長兼生産本部長の宮﨑和也氏に聞いた。(聞き手は、岩野 恵=日経クロステック/日経ものづくり、中道 理=日経クロステック/日経エレクトロニクス、吉田 勝=日経クロステック/日経ものづくり、東 将大=日経クロステック)

三精テクノロジーズが開発した4足歩行ロボット
三精テクノロジーズが開発した4足歩行ロボット
(写真:日経クロステック)
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前進、後退、複数人を乗せての歩行の様子
(動画:寺田治司)

三精テクノロジーズがロボット開発を始めたきっかけは何ですか。

 当社のトップが「何か面白いものを手掛けたらどうだ」と言ったのが始まりです。お付き合いのあった企業が人を乗せて歩くような大きなロボットを造ろうという構想を持っていたので、一緒に開発を始めました。その結果2018年4月に誕生したのが、クルマ型から人型に変形可能な2足歩行ロボット「J-deite RIDE(ジェイダイト・ライド)」です。

クルマ型から人型に変形可能な2足歩行ロボット
クルマ型から人型に変形可能な2足歩行ロボット
2018年にクルマ型から人型に変形可能な2足歩行ロボット「J-deite RIDE」を開発した 。写真はJ-deite RIDEの改良版で2022年に完成した「SR-01」。(写真:三精テクノロジーズ)
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なぜ2足歩行ロボットを開発後、4足歩行ロボットに手を広げたのでしょうか。

 2足歩行のロボットのメカニズムを応用すれば、4足のロボットにできるのではないかと考えたからです。遊戯機械を手掛ける当社としては開発したロボットを、乗って遊べる遊具に発展させる可能性があります。そうなるとやはり2足よりも4足のほうが歩行が安定しますし、乗る人数を増やせるので合理的です。4足ロボットは今まで手掛けてきたジェットコースターなどのタイヤで動く乗り物と外観も乗り心地も全く異なるので、当社の新たな商品として期待できると考えました。

 4足歩行ロボットの開発を始めたのは、J-deite RIDEの開発から約1年がたった2019年4月です。今までの遊戯機械の開発で、人が乗っても安全な乗り物を造る強度計算などのノウハウはありましたが、4足歩行の動きとなると深い知識はありません。そこで、まずは10分の1サイズの動くミニチュア模型を造りました。前述の2足歩行ロボットの制御システムも手掛けたアスラテック(東京・港)に協力を仰ぎ、同社のロボット制御システム「V-Sido(ブシドー)」を使って、色々な歩き方を模索しました。