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 ポストコロナの「新常態」に向けた新しいビジネスや働き方へのシフトが進んでいる。国内製造業を支えてきた中小製造業は、今、そしてこれからどうあるべきか。現場作業のリモート化や新事業に挑む大坪氏と宮本氏に、コロナ禍への対応やデジタルトランスフォーメーション(DX)などを語り合ってもらった。(聞き手は吉田 勝、構成・執筆は小林由美=製造系ライター)

写真:加藤康
写真:加藤康

 2020年2月頃から、国内でも新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行拡大が問題視され始め、同年4月には緊急事態宣言も発令された。両社ももちろん無傷ではなかった。

大坪:新型コロナは、当社の事業に非常に大きな影響がありました。近年、航空宇宙業界へのチャレンジを続けてきて、少しずつ受注が取れ始めていた矢先でした。航空機関連の産業は、「1度取れれば(受注に成功すれば)息が長い」と考え、かなりのリソースをつぎ込んできましたし、今後に大きな期待もしていました。

 しかし、新型コロナによる各国の移動制限で旅行業界、ひいては航空業界自体が大打撃を受けた結果、来年以降の見通しが立たなくなりました。まさかこんなことになるとは思いもしませんでした。

 不況にはこれまでも何度も痛い目にあっており、航空宇宙業界以外の幅広い産業の案件も手掛けてはいました。とはいえ、航空宇宙向けの仕事は全社的に進めてきていたため、かなり厳しい状況です。