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「見えないものを見る」

ソニーのイメージセンサーは、技術イノベーションによって未来を切り開いてきたとの印象が強い。CCDから始まり、CMOSになった。次は裏面照射、その次は積層という技術のブレークスルーを起こしてきた。この次には何が来るのか。

清水氏 次に大きな変化があるとすれば、材料が変わっていくだろう。

 フォトダイオードで光電変換などを行う現在の方式では限界も近づいてきたと感じている。そこで、新たに有機材料で光電変換することで、センサーの性能を格段に高めていく技術開発が進んでいる。例えば感度を大幅に上げる。ここでステージが1つ変わる、世代が変わるというイメージを持っている。しかし、この有機材料というのはなかなか難しい。われわれも10年以上にわたって取り組んでいるが、難しさを常に感じている。

何が難しいのか。

清水氏 まず、ウエハーから実用的な歩留まり、および我々が目標としているコストで実際に製造できるかどうかが最初のポイントである。

 このとき、中途半端な状態では量産したくない。例えば性能面で重要な項目が5つあったとしたら、5つとも100%にしないといけない。そこまで到達して初めて開発完了となる。これがなかなか難しい。しかし、5つのうち3つは100%だが、4つめは80%、5つめは60%という状態では量産に持っていくことは難しいと考えている。

ソニーは以前、CMOSセンサーで「人間の目を超えたい」と言っていた。そしてスペックでは既に超えた。次の目標は何か。

清水氏 次は「見えないものを見る」。これをやりたい。例えば、LED式の交通信号機を例に説明する。LEDの光は高速にフラッシング(点滅)している。人間の目には見えないが、CMOSイメージセンサーではチカチカとフラッシングして見える。このため誤認識してしまう。センサーが人間の目を超えているために、正確に見えすぎると言えるが、正しい認識のためには対策する必要がある。

(撮影:加藤 康)
(撮影:加藤 康)
■変更履歴
記事掲載当初、2ページ目の下から3段落目に「3年ほど前」とあったのは「5年ほど前」、3ページ目の最初の問いに対する答えの2段落目に「長崎工場」とあったのは「自社工場」の誤りでした。また、清水氏の現在の肩書は「ソニー 常務 イメージング&センシング・ソリューション事業担当」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2020/01/17 15:54]