iPhone速度抑制問題が、2017年末から2018年初めにかけて大きな話題となった。米アップルは2017年、iPhoneの旧機種に対して性能低下を伴うソフトウェアアップデートをユーザーに告知せずに実施した。iPhoneの予期しないシャットダウンの頻発を防ぐのが狙いとされている。ただし、同社はこうした事実を自ら公表せず、外部から指摘を受けた後に認めた。読者アンケートと有識者による分析で、この問題に迫る。
「モバイルアプリの開発に携わる者として、ユーザーが知り得ない状態でパフォーマンスを低下させるということは非常に問題と感じる。ユーザーが離れる一要因となり得る」
「シャットダウンの頻発のほうが問題としては大きい。バッテリーの特性を考えれば妥当な措置で特段問題視するようなことではない」
「iPhoneを気に入って長く使っていた。3台目としてiPhone Xを購入した直後のことだった。今回のことは企業姿勢としてすごくがっかりした」
これらは2018年1月26日〜2月4日に旧ITproで実施した、iPhoneの速度抑制問題に関するアンケートに寄せられた声だ。iPhoneの速度抑制問題は、米アップル(Apple)がiPhoneの旧機種の動作速度を意図的に落としていたとされるもの。アンケートには769人が回答し、この件への関心の高さがうかがえる。
本記事では、iPhoneの速度抑制問題を改めて振り返るとともに、アンケート結果からアップルの一連の対応に対してユーザーがどのように受け止めているのか明らかにする。
シャットダウン抑制と速度低下のトレードオフ
そもそもアップルの「速度抑制」とはどのようなものだったのか。
簡単に言えば、旧モデルのiPhoneでシャットダウンの頻発を防ぐため、必要時に最大パフォーマンスを下げる仕組みを導入したことだ。これによりシャットダウンの頻発を抑えられる。一方で、アプリの起動が遅くなったり、スクロールが遅くなったりするなど、動作速度の低下が起こる可能性がある。
この機能はアップルが2017年1月にリリースしたiOS 10.2.1に搭載され、対象はiPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone SEの5機種だ。その後、2017年12月にリリースしたiOS 11.2で対象をiPhone 7とiPhone 7 Plusにも広げている。