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(2)テスト設計時の方針を残す

 各テストケースの内容を理解するために、テスト設計時の方針を残して参照できるようにする。テストケースは正式成果物として保管するが、テスト設計方針は一時資料の扱いとして残さない現場が多いので注意が必要だ。テスト設計方針とは以下のようなものである。

テスト設計方針
項目概要
テスト目的テスト時の目的は何か
テスト観点何について確認しているテストか、何を対象外としたのか
テスト条件どのようなテスト条件で確認をすべきか、網羅の基準とその理由
インプット資料テストケースの設計時にインプットとしたドキュメント名

 前述したテストマトリクスに記載した方法で再利用できそうなテストケースを特定できたら、そのテストケースの設計方針を参照する。テストケースと設計方針を照らし合わせながら見られるようにしておくと、そのテストケースの内容の理解をサポートできる。

(3)インプット資料がいつ時点のものかを分かるようにする

 (2)のテスト設計方針書に、インプット資料のリビジョン番号またはベースラインとなる日付を記して、インプット資料がいつ時点のものか分かるようにする。こちらもできていない現場が多い。

 インプット資料がいつ時点のものか分かるようにしておけば、最新のシステム仕様書の内容とどれくらい乖離しているのか確認できるようになる。下図のテストケースAを再利用しようとした場合の例を以下に示す。

いつ時点のものか分からないと再利用が難しい
いつ時点のものか分からないと再利用が難しい
[画像のクリックで拡大表示]
  • テストケースAはシステム仕様書Aのv1.0(バージョン1.0)をインプットに新規作成
  • その後、システム仕様書Aのv1.3をインプットにテストケースAを更新

 現在、最新のシステム仕様書がv1.4とするとテストケースAを再利用するには、システム仕様書のv1.4の変更のみを反映すればいい。テスト設計方針書にインプット資料がいつ時点のものかを記載していないと、再利用したいテストケースにどのバージョンのシステム仕様を反映すればよいのか分からなくなる。


 再利用するテストケース自体が分かりやすく書かれている必要はあるものの、3つのポイントを心掛けると、テストケースを再利用しやすくなる。これから作成するテストケースだけでなく、再利用を検討している既存のテストケースの内容整理にも活用できるだろう。既存のテストケースを有効活用できるようになると、テスト設計の作業工数の削減効果が期待できる。さらに、過去案件で実績のあるテストケースを活用することで、テストケースの漏れや誤りを防げるだろう。

■参考文献
ISTQB ソフトウェアテスト標準用語集 日本語版 Version 2.3.J02
春田 優子(はるた ゆうこ)
SHIFT
ビジネストランスフォーメーション事業本部
エンタープライズビジネスユニット 技術支援グループ テスト計画ファンクション
ファンクションマネージャー
大手SIerにて、10年以上にわたり金融業界を中心としたシステム開発に従事。要件定義からリリース、保守・運用まで一連の開発業務を担当し、プロジェクトマネジャーを務める。また、開発標準の策定といった標準化業務にも従事する。SHIFT入社後、金融業界向けのシステムに対する品質保証業務を担当。上流工程のテスト計画策定支援やテストプロセスの標準化・改善を専門とする。現在は、SHIFT社内に向けたプロジェクト支援や教育、新規技術開発にも精力的に取り組んでいる。
吉澤 麻由(よしざわ まゆ)
SHIFT
ビジネストランスフォーメーション事業本部
エンタープライズビジネスユニット 技術支援グループ テスト計画ファンクション
テストエンジニア
大手SIerにて、Web系システムの要件定義から保守・運用まで、幅広いフェーズにおける開発業務を10年以上にわたり担当。ウォーターフォール、アジャイルなどの様々な開発スタイルのプロジェクトで検証業務を経験。SHIFTでは、パッケージ製品、金融システム、医療システムなどの難易度の高い検証業務を主に担当し、テスト計画支援を専門とする。また、SHIFT社内に向けたテスト計画・設計の支援、教育にも注力している。