10年後、建設業界の勢力図はどうなっているだろうか――。最近、こう自問することが増えたように思う。従来の建設業種の枠組みでは説明できないプレーヤーが、今後の成長の鍵を握るようになってきたからだ。
2019年の暮れに大阪市で開かれた建設業向けのピッチイベントに参加したときにも、この問いが頭をよぎった。全国の建設会社の経営者有志が集まる「地域建設業新未来研究会(CCA)」が実施した「Construction-Tech Startup Conference」の催しだ。
ピッチイベントとは、スタートアップやベンチャー企業が資金調達などのために、短時間で自社の強みである技術やサービスをプレゼンテーションする場だ。この日は参加した10社が、それぞれの強みについて熱弁を振るった。アピールの先は、建設業界(地域建設業)で活躍する企業役員・社員だ。
住宅購入を検討する顧客と工務店を対象とした「見学会マッチングサービス」や、現場の見える化を目的に重機などへ後付けできるIoTシステム、米ウーバーのようなビジネスモデルをダンプトラックに適用する残土処理アプリなど、非常に魅力的なプレゼンテーションばかりだった。審査するCCA会員企業の社長のコメントや顔色からは、スタートアップとの関係構築にかなり前向きな印象がうかがえた。
地方の建設会社が属するCCAに限らず、全国展開する建設会社もスタートアップとのビジネス創出に余念がない。特に19年は、竹中工務店や安藤ハザマ、飛島建設など多くの企業がスタートアップへの支援プログラムを始動させる年となった。
今やスタートアップなどとの資本協力や業務提携は、生き残りを懸けた成長戦略として当たり前の取り組みとなった。場合によっては、優秀な技術を持つスタートアップをM&A(合併・買収)で囲い込むことも珍しくない時代だ。