台湾の鴻海精密工業は、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(Fiat Chrysler Automobiles、FCA)と電気自動車(EV)に関する合弁会社を設立する。鴻海が台湾の証券取引所に提出した文書で明らかになった。中国でEVを設計・製造するという。
電機産業において電子機器の受託製造サービス(EMS)で圧倒的な地位を築いた鴻海が、いよいよ自動車産業にも本格参入するという構図である。しかし、自動車メーカーであるFCAとの合弁となると、既存のビジネスモデルと少し異なるように思える。
EMSのように幅広い企業から受託するなら、特定企業の“色”は付かない方が良いはずだ。FCAとの合弁会社設立は、鴻海がFCAのティア1になるイメージである。ただし、そこで力を付けて、将来的に系列色を薄めていきメガサプライヤーを目指すという可能性もありそうだ。
合弁会社の出資比率は50対50。鴻海本体の出資は40%を上限とし、残りは子会社などを通じた間接出資になる。米ブルームバーグによれば、鴻海は主に設計やサプライチェーン管理を担当し、車両の組み立ては手掛けないという。
そうだとすれば、なおさら鴻海はメガサプライヤーを目指しているように思える。FCAとしても、お目当ては鴻海の製造力というよりは、EMSで培った設計力や調達力ということになる。買収したシャープの技術も生きてくるかもしれない。